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中目黒の喫茶店の話

中目黒の川沿いに、もう20年以上お店をやっている喫茶店がある。お店に来るのは常連の方ばかりだったから、最初は不安だったけど、お店とママさん、そこに来る常連さんがあたたかい方ばかりだと気づいたから、今は通うようになっている。

僕は喫茶店が好きだ。珈琲もそうだが、いろんな人が同じ空間に集まって、話をすることができるから。L字型のカウンターがある喫茶店なら、尚のこと良い。ママさんの顔、カウンターに同じように座るお客さんの顔を見ながら話をできるから。中目黒のここは、僕のそんなこだわりを全部満たしてくれている。

いつも通りカウンターで珈琲を楽しんでいると、誰かしら人がやってくる。僕もいつの間にか、「○○さん、こんにちは。」と挨拶を交わせるようになった。お互いの名前と顔が一致するようになったのは嬉しい。いろんな話もできるようになるから。

僕はまだ23歳だから、お店では最年少に近い。ママさんを含め、常連さんは50代~70代の方が多い。なかには、80歳を超えた方もいらっしゃる。その方々がいろんな話を僕にしてくれる。中目黒の今昔物語だったり、人生のこととか。その人自身が経験した話を聞かせてもらえるのは、すごくありがたいことだと思う。普通、なかなかないと思うから。だから、僕も一生懸命聞くし、自分に取り入れられることは取り入れようと努力してみる。最近は、人から学ぶことを意識してみたりしている。

「ただいま。」「おかえり。」「行ってらっしゃい。」「お休みなさい。」

何気なく交わされるそんな挨拶も、あたたかな気持ちになる。

僕が喫茶店に行く理由は、珈琲を飲みに行くというよりも、そこにいる人、集まる人に会いに行っている感じに近い。そういう場所が今住んでいる中目黒にある。それが今、一番幸せなことだと思う。

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