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中目黒の好きな花屋さんの話

ひょんなご縁で中目黒に住むようになってから3ヶ月が経つ。東横線の高架沿い、祐天寺側に「ex. flower shop & laboratory」はある。天井からドライフラワーが吊り下げられ、色とりどりの花が並ぶ、小さな花屋さんだ。雰囲気の良いスタッフの方々も素敵だ。

「花を飾りなさい。」

1人暮らしを始めるときに母から言われたことだ。当時、住んでいたところの近所に花屋がなかったから、花を飾ることはしていなかった。社会人として東京に越してきて、住んでいたところの駅には花屋があったから、なんとなく買って飾ってみた。するとどうだろう、無機質な部屋に彩りが生まれ、まるで別の空間のように思えた。母の言葉の意味が分かったような気がした。

花の寿命が近かったので、新しい花を買い求めに、僕はお店に来ていた。既にお店には常連の方が来ていて、スタッフの方と話をしている。その日、5月1日はスズランの日というらしい。フランスで始まり、大切な人たちに贈るのだそうだ。その常連の方は、大事にスズランを抱えて帰って行った。

僕は考える。自分に大切な人はいるかと。すると、たくさんの人たちの姿が浮かんできた。そんな人たちが僕にはいることに改めて気づいて、幸せな気持ちになった。

僕もスズランを買い求め、部屋に飾る。その白くて華奢なスズランの姿を見ながら、大切な人たちとの記憶を思い出していた。

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