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研究生活セット

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研究活動,研究生活,研究環境に関連するトピックを集めました。研究とはどういうものか,研究者は何を考えるのかなどを知るためのセットです。
研究者の生活についてまとめた,研究とはどういうものか,研究者は何を考えるのかなどを知るためのセット… もっと詳しく
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2018年9月の記事一覧

昔書いた統計テキストについて語っておきましょうか

実は,本のタイトルをつけるのが苦手なのです。 これまで何冊かの本を出版しているのですが,たいていタイトルをつけるのが最後になってしまいます。あれこれ悩んで,もう最後は「なんでもいいです」という気分になってしまいます。 タイトルお任せ新書も,原稿を一通り書き,校正も終わったくらいのタイミングにもかかわらず,タイトルは決まっていませんでした。いつもと同じです。 最後は「お任せします」ということでこうなりました。 キーワード盛り込み今から十数年前の2004年,この黄色い表紙の

研究者用SNS: ResearchGateの話

研究者の間ではよく知られているけれども,そうではない人はあまり知らないネットのサービスというのは,いくつかあるのではないでしょうか。 今回は,ResearchGate(リサーチゲート)というサイトを紹介したいと思います。 ResearchGateは2008年に始まったようです。もう10年になるのですね。私が登録したのは,サービス開始初期の頃かもしれません。 最初はボストンに本社が置かれていたようですが,現在はベルリンになっています。また,マイクロソフトの共同創業者ビル・

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研究者RPG(6):すごい研究者の日々

さて,今回こそ最終回です。これまで5回にわたって,研究者が書いた論文の被引用回数について書いてきました。 研究者RPG(1):研究者の評価 研究者RPG(2):論文の被引用回数について 研究者RPG(3):就職するための被引用回数 研究者RPG(4):一流研究者たちの被引用回数 研究者RPG(5):伝説的研究者の被引用回数 最後は,私が見た範囲に過ぎないのですが,すごい研究者の姿や印象,どうやって研究業績を増やしているのか,どういう戦略が立てられているのか,などについて書

研究者RPG(5):伝説的研究者の被引用回数

研究者たちが論文を書いて,それが多くの論文や発表で引用される。その数字が研究者たちのひとつの評価になっているというお話の続きです。 今回は,もっとすごい研究者たちの数字を見てみようと思います。 そこで被引用回数が10万を超えるすごい研究者たちと,すでに存命ではない伝説的研究者たちの被引用回数を見てみましょう。研究者ロールプレイングゲームとして経験値を積み重ねた勇者の姿を見ることができます。 過去の記事はこちらです。 →研究者RPG(1):研究者の評価 →研究者RPG(

研究者RPG(4):一流研究者たちの被引用回数

これまで3回にかけて,研究者にまつかわる数字の話をしてきました。今回はその続きです。 これまで数回にわたって,私の研究分野の研究者が就職する頃や,キャリアを上がっていくときに,Google Scholarでどのくらいの被引用回数に至っているかを見てきました。 今回はもっとキャリアを積むと,どうなっていくかを見てみたいと思います。 前回も言いましたが,あくまでもこれは私が見ている範囲の数字であり,心理学の中でも分野が違えば目安となる数字はまったく異なってきます。さらに言え

研究者RPG(3):就職するための被引用回数

今回も引き続き,研究者にとって重要な論文にまつわる数字を見ていきたいと思います。そして今回は研究者の歩んでいく道(?)を見ていきたいと思います。若手の研究者から順番に数字を並べていくと,研究者の進む道の様子が想像できます。 この記事は,過去2本の続きです。これまで2本の記事の中で,研究者にとって自分の論文を何回引用されるかが重要な数字なのだということを説明してきました。 →研究者RPG(1):研究者の評価 →研究者RPG(2):論文の被引用回数について 今はGoogleが

研究者RPG(2):論文の被引用回数について

※出てくる数字は投稿時のものです。 インパクトファクター(IF)という数字があります。共同研究者と「どの雑誌に論文を投稿する?」「インパクトファクターの高いところから試してみる?」という会話をすることがあり,そこで出てくる数字です。 インパクトファクターは,ある雑誌に過去3年間に掲載された論文がその最終年に何本引用されたかを平均した値です。 たとえば,雑誌Aに掲載された2016年,2017年,2018年の論文が100本あったとします。2018年にその100本の中でいずれ

研究者RPG(1):研究者の評価

研究者は,出版した論文や書籍,学会で発表した内容などが評価されます。「どんな研究をどれだけやっているか」ということですね。 さて研究者が就職に応募する際には,履歴書とともに研究業績書を提出しますので,その研究者がどのような研究をしているのか,何本の論文をこれまでに書いているのか,どのような書籍を出版しているのかはすぐにわかります。英語ではCV(curriculum vitae)と呼ばれていて,研究業績もひとつの経歴として履歴書の中に含めて作成します。 「研究」という活動は