マガジンのカバー画像

研究生活セット

108
研究活動,研究生活,研究環境に関連するトピックを集めました。研究とはどういうものか,研究者は何を考えるのかなどを知るためのセットです。
研究者の生活についてまとめた,研究とはどういうものか,研究者は何を考えるのかなどを知るためのセット… もっと詳しく
¥1,499
運営しているクリエイター

2020年11月の記事一覧

論文の考察を書くときのポイント

これまで,いくつか(特に心理学の)論文を書くときに気をつけたほうがよいことを記事にしてきました。 たとえば,『良いリサーチクエスチョンを立てるためには』では,研究をしていく上で欠かせない「問い」を立てるときのコツについて紹介しています。 また『よい仮説を立てるコツ』では,研究結果を得る前に立てられる仮説を立てるときのコツを紹介しました。 今回は,これまた論文を書くときに欠かせないにもかかわらず,初めて論文を書くときにはどうしたらよいのかがわからなくなってしまいがちな,「

どれだけ調査データを集めれば良いのですか?

卒業研究に取り組む学生からよく出る疑問のひとつが,これです。 ◎調査でデータをどれだけ集めればいいのですか? 毎年,必ずと言っていいほど尋ねられる疑問です。 経験からこれまで何度も調査を行って,データを分析して……ということを経験してきていますので,肌感覚でなんとなく「これくらい集まるといいんじゃない?」という印象はあるのですよね。たとえば,100人くらいだと相関係数はまだ上下動が激しくて,200人くらい集まると安定してくる感覚とか。 きっと,学生を指導する指導教員た

中東地域でよく研究される社会心理学のトピックは?

論文を英語で書くかそれとも日本語で書くか,という問題は心理学の領域でも近年ますます問題になってきています。だいたいこういった問題への態度は,研究者の世代が変わるにつれて次第に変化していくものです。 私が大学院生の頃,少なくとも私の周りでは論文を日本語で書くのが当たり前で,英語で論文を書く院生の姿をあまり見ることはありませんでした(指導教官は英語でも書いていたのですが)。 この問題は「研究分野」と「時代」の両方を考える必要があります。心理学の中だけを見渡したときにも,以前も

よい仮説を立てるコツ

以前,リサーチクエスチョンを立てるコツについて書いたことがあります。よいリサーチクエスチョンを設定するには,単純すぎず複雑すぎず,焦点を明確にして,回答可能で,価値判断に注意しつつ,抽象的すぎず,理由の立て方に注意し,オリジナリティを考える……そういったことに注意しいていくのがよいだろう,という話でした。 今回は,次の記事(Developing a Hypothesis)を参考にしながら,「よい仮説を立てるコツ」について考えてみたいと思います。 リサーチクエスチョンは,研

知ったかぶりの効能

今回は研究の紹介ではなく,考えてみたことを書いてみたいと思います。 皆さんは知ったかぶりをする方でしょうか,それとも知らないことは「知らない」とはっきり言う方でしょうか。 知ったかぶりというのは,本当は知らないのに,あたかも知っているかのように振る舞うことです。 知ったかぶりの研究知ったかぶりを調べる心理学の方法というのも考えられています。いや本当に,心理学というのはなんでも測定してしまうものです。こうすればこんなことも測定できる,ということを考えるのは,なかなか楽しい