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基本性格特性セット

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ビッグ・ファイブ・パーソナリティやダーク・トライアドなど,多くの研究のキーとなる性格特性を説明した記事を集めました。人間の性格特性の基本次元を知ることができます。記事は随時追加さ… もっと読む
他の記事に出てくる用語を押さえるための,基礎知識セットです。人間の性格特性の基本次元を知ることがで… もっと詳しく
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2022年10月の記事一覧

人間全体を2次元で捉えるモデル

アボットの『フラットランド』という本をご存じですか?もとは1884年にイギリスで出版された本で,これまでに何種類かの日本語訳が出版されています。 私が最初に読んだのは,講談社のブルーバックスだったのではないかと記憶しているのですが……。ああ,これです。『二次元の世界―平面の国の不思議な物語』というタイトルでした。古書は価格が高騰していますね。 この本は,二次元の平面世界に生活している人が世界をどのように見るのか,そしてそこに三次元から物体がやってきたらどのように見えるのか

性格の「Big One」

人間の性格(パーソナリティ)特性が,知能のようにひとつにまとまるのではないか,という議論は100年以上前からあります。 1915年,Webbは知能とパーソナリティの因子を探す試みの中で,一般因子(g)と同じような一般的なパーソナリティ因子を見つけました。そして,この因子は意志や意志から生じた行動の一貫性を表すと考えて「w」と名づけました。「will」の頭文字です。 21世紀それから約100年くらい経って,21世紀に入った頃に,パーソナリティの統合因子(General Fa

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知能全体で男女の差はないけれど

男女で知能に差があるのか,という問題は根強く研究されるテーマの一つのようです。実に100年以上,男女の違いが研究されていると言われています。 知能だけでなく心理学的な変数の多くの場合,男女で平均値の差を検討したとしてもそれほど大きな「差」が見られるわけではありません。平均値の差を標準偏差を基準に示した値を効果量といいます。 身長の効果量はだいたい「2」くらいの値になるのですが,心理学的な変数の多くの場合,男女の差は「2」どころか1を割り込んでくることも多く,「0.2」とい

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非認知能力は認知能力よりも本当に重要なのか

20世紀初頭にフランスで知能検査が開発されてから,知能検査の結果を使った研究は世界中で行われてきました。なかには多くのサンプルを対象とした長期縦断的な研究も行われており,知能検査の結果がよい人はよくない人に比べて,さまざまな面で社会的に恩恵を受けることが示されてきています。 たとえば学業成績,学歴,収入,健康,そして寿命などです。このように,実際に社会のなかで「望ましい」結果をもたらすような心理学的特性は,「役に立つ」そして「向上させるべき」特性として研究だけでなか卯社会的

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ダークな特性と性格の統合因子との関係

パーソナリティ全体の構造がどのようになっているかという問題は,20世紀を通じてさまざまに研究されてきました。20世紀の終わりくらいにかけて,ビッグ・ファイブ・パーソナリティが研究者たちのコンセンサスを得るようになってきたのですが,21世紀に入ってからもまだまだ研究は続いています。 上位因子20世紀末頃から21世紀にかけて,「ビッグ・ファイブ・パーソナリティの上位の因子には何があるのか」という研究も行われてきました。 たとえば1997年の論文でDigmanは,情緒安定性(神

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なんだかんだ言っても能力は1因子?

学力テストって合計得点を算出しますよね。そのことについて,皆さんは何も疑問に思わないでしょうか。 国語,数学,英語,理科,社会,またもっと細かく教科が分かれていることもあります。それぞれ,得意不得意は当然ありますよね。文系科目と理系科目でまとめることもできますし,文系が得意で理系が苦手,という人もいることでしょう。文系の科目の中でも,国語は得意だけれど英語は苦手という人もいそうです。にもかかわらず,すべて「合計する」のですよね。 合計得点を算出することができるということは