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基本性格特性セット

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ビッグ・ファイブ・パーソナリティやダーク・トライアドなど,多くの研究のキーとなる性格特性を説明した記事を集めました。人間の性格特性の基本次元を知ることができます。記事は随時追加さ… もっと読む
他の記事に出てくる用語を押さえるための,基礎知識セットです。人間の性格特性の基本次元を知ることがで… もっと詳しく
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#研究

性格が生きるか死ぬかに影響する理由

パーソナリティ(性格)特性が,さまざまな心身の健康状態に関連するという研究は数多く行われています。 ビッグ・ファイブ・パーソナリティの研究では,おおよそ,勤勉性の高さが死亡率の低さに関連するという報告があります。また神経症傾向は,心身の不健康に関連しやすい特性です。しかし,死亡との関連については,研究によってまちまちのようです。 何が間にあるのかパーソナリティ特性がダイレクトに生死に影響するなんていうことは,なかなか考えられないものがあります。 しかし,パーソナリティ傾

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ビッグ・ファイブ・パーソナリティの男女の違い

男性と女性で性格が違うのか,という問題は非常に古くからあって何度も繰り返し検討されてきた研究のテーマです。それに,一般にも男性と女性の性格はずいぶん違う者として認識されている傾向がありますし,さまざまな作品でも異なるものとして描かれています。 実際に研究の中では,どのように示されているのでしょうか。 パーソナリティパーソナリティ(性格)は,それぞれの人が特定の特徴をどの程度示すのか,どの程度示さないのかということで表現されます。パーソナリティを特性として次元的に表現すると

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ダークな性格の年齢差と性差

社会的にあまり望ましくないパーソナリティ特性として,ダークなパーソナリティが盛んに研究されています。 ダーク面他の人を自分の利益のために利用するマキャベリアニズム,冷淡で倫理観が欠如するサイコパシー,誇大で他者にも特別扱いを求めるナルシシズムの3つをまとめてダーク・トライアド,これに,他者の苦しみを見て喜びを抱く傾向であるサディズムを加えてダーク・テトラドという枠組みで研究が進められています。 近年,ダークなパーソナリティの共通点を総合したダーク(D)因子の研究もちらほら

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回答の選択肢は何件法がいちばんちょうどいい?

心理学の質問紙法の測定では,リッカート形式の尺度がよく用いられます。これは,次のような形式です(架空の例です)。 いくつの選択肢?回答の選択肢をいくつにするかというのは,素朴な疑問であると同時に答えが難しい問題です。 これまでの研究で明らかにされたこととして,次のことがあるそうです。 ◎2つまたは3つの選択肢だけの場合は,それより多くの選択肢で測定した場合に比べて,大きく歪む可能性が高くなる。 ◎内的整合性(アルファ係数)は,回答の選択肢が2つから5つや6つになるにつれ

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指の長さとダークな性格

何度も記事にしてきていますが,マキャベリアニズム,サイコパシー,ナルシシズムの3つのパーソナリティ特性を,まとめてダーク・トライアドといいます。21世紀はじめ頃にこの3つに共通点があり,まとめて研究することの意義が提唱されました。その後しばらくの間はあまり研究も増えなかったのですが,2010年前後から爆発的に研究数が増加し,現在も世界中でこのセットを用いた研究が数多く行われています。 3つのそれぞれの意味は,おおよそ次のような内容です。 ◎マキャベリアニズム:自分自身の利

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勤勉性が裏目に出てもやはり勤勉性

ビッグ・ファイブ・パーソナリティは,人間全体のパーソナリティをおおまかに5つの次元で表現します。この枠組みは健康で通常範囲のパーソナリティを上手く表現する枠組みではあるのですが,さまざまな精神的な問題にも対応したものだとされています。 たとえば強迫性パーソナリティ障害(OCPD)は,柔軟性や効率性を犠牲にしても,秩序,完全性,精神的・対人的コントロールに過度にとらわれてしまうことを特徴とします。これらの特徴は,完全主義やワーカホリック,角に物事をあれこれ考えてしまうような傾

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HSP(感受性の高さ)とSSS(刺激希求性)の関連

感覚処理感受性(SPS)は環境感受性とも呼ばれ,この特徴を持つ人のことをHighly Sensitive Person(HSP)といいます。ネットの中では「繊細さん」なんて呼ばれることもあるのですが,心理学では個人差特性として多くの研究が行われています。世の中に出回っている話のうちどれくらいが,ちゃんと研究に基づいているのかについては,ちょっと疑問に思うことも多いのですが……。 感覚処理感受性は,環境から耐えられる刺激に対する処理の深さ,繊細さの認識,刺激への反応性の高さに

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性格と様々なパフォーマンスとの関連

20世紀を通じて,数多くの研究が,パーソナリティ(性格)特性とさまざまな社会のなかでのパフォーマンスとの関連を検討してきました。 そして多くの研究が行われる中で,複数の研究結果を統合するメタ分析も数多く行われてきています。 ◎ビッグ・ファイブ・パーソナリティと職務遂行能力 ◎ビッグ・ファイブ・パーソナリティと学業成績 ◎ビッグ・ファイブ・パーソナリティと知能 ◎ビッグ・ファイブ・パーソナリティと情動知能 さらに広く,何らかの「パフォーマンス」との関連が検討されてきていま

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性格の統合因子と給料の多さ

パーソナリティ(性格)について,いくつの因子(次元,特性)があるのかという問題については,長い間,検討されてきました。その研究のおおもとになっているのは,辞書から人間の性格用語をいくつ抜き出すことができるかという研究です。 そこから調査や統計処理,特に因子分析を使って,いくつの因子で人間の全体的な性格を捉えるのが適切なのかという研究が重ねられていきます。そしてそのうち,5つの次元から人間のパーソナリティを捉える,ビッグ・ファイブ・パーソナリティや,5因子モデルと呼ばれる枠組

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知能と人生の成功との関連はどれくらいあるのか

知能という概念の価値は,「人生の多くの結果を予測できること」にあります。いや,もっと広い話についていえば,そもそも私たちの生活のなかのいろいろなことを予測できる心理学的な概念は,「価値のある概念」と考えられて,多くの心理学者が研究の対象とするのです。 それが「知能以外」となれば,「非認知能力」と呼ばれたりもします。 成功を予測人生の成功といえば,何があるでしょうか。たとえば,学歴はどうでしょう。日本で「学歴」というと「どの大学に進学するか」を指して言うことがあるのですが,

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マインドフルネスの特徴は

マインドフルネスという言葉も,すっかり世の中に広まった専門用語の一つです。書店に行っても,ネット書店でも,マインドフルネスに関連する書籍は本当に数多く販売されています。 マインドフルネスは,何も判断することなく,いまこの瞬間の経験に注意を向けること,とされます。少し抽象的で,よくわからない言葉だと感じるかもしれません。目の前の作業に集中することとマインドフルネスはどう違うのか?とか,フロー体験とマインドフルネスはどう違うのか?など,疑問が浮かぶかもしれませんね。 マインド

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個別の領域の自尊感情と全体の自尊感情の関係は

教科書によく出てくる自尊感情のモデルの一つに,階層構造モデルがあります。心理学者シェーベルソン(Shavelson)のモデルがよく知られているのではないでしょうか。このモデルでは,グローバルな自尊感情つまり個人の人間としての価値に対する総合的な評価と,領域別の自尊感情が設定されます。領域別の自尊感情は,学力や容姿,社会的関係など特定の領域における自分自身の評価のことを指します。 トップダウンかボトムアップか全体と領域固有の自尊感情の関係を考える時に,下から上に影響があるのか

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自己愛と自尊感情は互いに連動するのか

自己愛(ナルシシズム),しかも病理ではない,一般のパーソナリティ(性格)としての研究論文が世界中に数え切れないほど存在している,というと,心理学の研究にあまり近くない人たちは驚きそうです。 Google Scholarで「narcissistic personality」をキーワードに検索すると,「約45,400件」と表示されました。やはり,なかなかの数です。すべてをチェックすることはもうできないでしょうね。 逆説的どうして自己愛の研究がこれほど多く行われているのでしょう

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MBTIとBig Five:性格テストどうしの関連

MBTIという心理検査があります。これは,ユング理論に基づいた4つの指標をモデル化した得点を算出し,そこからタイプを導く検査です。 MBTIは人々を16のタイプに導いていくことから,わかりやすく根強い人気のある検査です。しかし,類型論の長所が「わかりやすさ」にある一方で,類型論の短所には「おおざっぱさ」「無理やりカテゴリに分類すること」「典型的な人がまったく存在しなくても『そのタイプ』と極端に評価されてしまうこと」など,数多くのことが存在します。 MBTIの指標MBTIは