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どうしても食べ過ぎてしまうという衝動性

本当に,いけないいけないと思いつつも……ついつい食べ過ぎてしまいます。

本当に,これはいったい何なのでしょうね。体重をコントロールしようと思うのに,目の前に出てくる食べ物を残しておけば良いのに,すべて食べきる必要もないのに,どうしても「あと一口」と手を伸ばしてしまうのです。

衝動性

心理学では衝動性という概念があります。昔からある概念なのですが,これもなかなか,一筋縄ではいかない難しい概念のように思います。

Wikipediaにも項目が立てられているのですが,その内容を読むと「悪い結果になってしまうかもしれない行動を,あまり深く考えずに行ってしまうという行動特性」だと書かれています(2019年8月現在)。うーん,ちょっとシンプルな定義であるように思いますね……。

英語版のWikipediaにも“Impulsivity”の項目があります。そこでは,気まぐれに行動を起こすことで,その行動をすることの予測や,反省や,考えがほとんどない状態のことを指すと述べられています。

まとめてみると,衝動性とは「考えなしに行動すること」,なのでしょうか。

そういえばちょうどそんなタイトルの本がありました。

衝動性の要素

衝動性にも,いくつかの要素があるようです。

たとえば,注意をうまくコントロールできないこと,すぐに行動を起こすこと,そして計画性がないことという3つの要素に分けて測定する衝動性の尺度があるそうです。

また,ずっと先の大きな利益よりも目先の利益を優先する傾向と,状況に応じて自分の行動をコントロールすることができない傾向という2つの要素で衝動性を捉える枠組みもあるようです。

このようにみてくると,衝動性には,すぐにぱっと利益を得たいと思うことと,自分をコントロールできないこと,たとえると,自動車のアクセルを踏みすぎることとブレーキが利きにくいことの両方の要素があると言えそうです。

衝動性と食べ過ぎ

では,この衝動性と食べ過ぎてしまうこととは,関連があるのでしょうか。また,両者にはどのような因果関係があるのでしょうか。そのような検討を行った研究があります。この論文(Which came first? Exploring the reciprocal relations between impulsivity and binge eating)です。

この研究では,241名の大学生を対象に,3週間にわたって3回の調査が行われました。3回とも参加した学生には,3ポイントのコースクレジット(実験や調査に参加することで授業でのポイントになる制度が海外の大学にはよくあります)か,あるいは100ドルの当選金がもらえる可能性があるくじ引きかを選ぶことができたそうです(結構高額ですがどのくらいの確率で当たるのでしょう……)。

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