飼い主のストレスや不安定な性格は飼い犬のストレスを高めてしまうかも
「あの人と一緒にいると,こっちも楽しくなってくるんだよね」といったように,楽しい人と一緒にいると,なぜかこちらも楽しい気分になることってないでしょうか。明るい人の周りに人が集まるというのも,そういう「なんだか楽しそう」という感情の伝達のようなことがあるのかもしれません。
もちろん,それが成り立つなら落ち込んだ気分や悲しい気分も伝達されるのか,という話になりますけれども。
人間以外では
人間同士で感情が伝わることがあるなら,人間以外の動物とはどうでしょうね。たとえば,飼い主が楽しい気分でいるときは,飼っているイヌも楽しい気分になるのでしょうか。
歴史の中でイヌと人間は,とても長い期間をともに過ごしてきました。
先日も,飼い主が逮捕されて刑務所に入ってしまったことで,警察署の前でずっと待ち続けるイヌのニュースが話題になっていました。こういう姿を見るだけで,感情が揺れ動かされますよね。そして,人間とイヌとのあいだに何か感情的な交流があるのでは?と思わされます。
イヌと人間の感情のシンクロ
さて,ということで今回紹介する研究です。この研究では,イヌと飼い主との間にストレスレベルの一致が見られるのかどうかを検討しています。加えて2時点で測定しており,その関連が安定して見られるのかどうかについても検討しています。この論文(Long-term stress levels are synchronized in dogs and their owners)です。
調査の対象になったのは,イヌと飼い主58組です。夏と冬に,ストレスのレベルが測定されました。このペアのストレスのレベルを測定するのですが,さすがにイヌに「あなたはどれくらいストレスを感じていますか」と尋ねるわけにもいきません。
そこで,この研究では毛髪の中に含まれるコルチゾールのレベルを測定しています。
肌で毛が作られるときには,ケラチンにコルチゾールというホルモンが取り込まれることがわかっているそうです。コルチゾールというのは副腎皮質でつくらえれるホルモンで,この量がストレスレベルと関連することは昔からよく知られています。
というわけで,この研究ではイヌと飼い主の毛の中に含まれている,コルチゾールの濃度の関連を調べているというわけです。
ちなみに,イヌの種類はシェットランドシープドッグとボーダーコリーだったそうです。
関連はあるのか
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