日本の喫煙者は外向的
以前,日本の喫煙率の変化について記事に書いたことがあります。
昭和40年ごろの男性の喫煙率は8割くらいでした。タバコを吸う男性が圧倒的多数で,吸わない人のほうが珍しかったことがわかります。それが平成30年になると,20から30%にまで減りました。マジョリティは逆転し,今ではタバコを吸う人のほうが珍しい状況です。
そしてこの比率の逆転に伴って,タバコを吸うことがスティグマ(偏見の対象となるような負の烙印)になってきている印象すらあります。
ちなみに私は平成に入ってすぐくらいに二十歳になりましたので,周囲もまだタバコを吸うことはまったく珍しいことではなく,私自身もけっこうなヘビースモーカーでした。
本当に……やめることができてよかったです。
日本だけでなく
喫煙率が下がっているのは,日本だけの現象ではありません。アメリカでもやはり,喫煙率は大幅に減少しています。1955年の男性喫煙率は56%,それが2013年には約20%まで低下しています。日本よりはやや低い値で推移しているというデータになっています。
「アメリカやヨーロッパでは喫煙者は少ないのでは?」と思うかもしれません。街中での喫煙も少ないのではないかという印象もありそうです。
しかし,アメリカやヨーロッパのいろいろな場所に行って見てみると,喫煙者をまったく見ないわけではありません。街中の道路すべてが禁煙になっているわけでもなく,タバコを吸っている人もちょくちょく見かけます。
むしろ日本の方が,「これはダメ」となったら一気にその方向に流れていく傾向を感じます。「ダメなんだから当たり前でしょう」と,まるで理不尽な校則を守る子どもたちのようにも……。
大麻
最近は,大麻が解禁になった国や地域もあるので,「この臭いはタバコじゃなさそう……」と思うことも増えてきました。
欧米の方が,何を吸おうが個人の自由,そしてある程度はその権利を守ろうとしているように見えます。日本は「これはダメ」となると一気にその権利を失わせようと圧力をかけていくように思うのですが……これは思いすぎでしょうか。タバコだけでなく,他のことでも同じように思うことがあります。
タバコを吸う人の性格
日本で,タバコを吸うこととビッグ・ファイブ・パーソナリティとの関連を検討した研究があります。この論文(Smokers Are Extraverted in Japan: Smoking Habit and The Big Five Personality Traits)です。私も,著者のひとりになっている論文です。
だいたい,海外では神経症傾向が高くて勤勉性が低い組み合わせが,喫煙(そして大麻やドラッグ使用)に関連することが知られています。ただ先行研究によって,外向性と関連することもあるようです。そういう中でこの研究では,日本の基本的な知見を提供することに主眼が置かれています。
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日々是好日・心理学ノート
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