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時代とともに完全主義的傾向が高まっているという話

自分が子どもの頃,もっと世の中は適当だったように思います。たとえば,タバコに関して思い出すのは......。

◎小学校の時の担任は教室で喫煙していました(私たち生徒はその先生が大好きで,誕生日のプレゼントにタバコをもっていったことを覚えています)
◎高校生の頃,飲酒・喫煙していた同級生がいた(通っていたのはそれなりの進学校です)
◎大学の講義室や演習室にも灰皿が置かれていた(タバコを吸いながら授業をする先生は,もうほとんどいませんでしたが)
◎路上や自動車での喫煙は,吸い殻を投げ捨てるのが当たり前だった

自分ももと喫煙者でしたので,当時は当たり前のように行われていましたけれど今から考えるとちょっと......ということも,あれこれと思い浮かびます。喫煙マナーが取り沙汰されるようになったのも,つい最近のことだということです。

1970年代の男性成人喫煙率は80%以上,平成に入る年でも60%前後です。それが現在では30%以下なのですから,どちらが多数派なのかは一目瞭然です。


昔はよくても

以前は許容されていたことでも今ではダメ,ということは多そうです。また,当時はSNSがなくて良かったな,と思うこともあります。今だったら大炎上していそうな出来事もけっこうあったのではないでしょうか。自分や自分より上の世代は特に。そういう意味では,見事な監視社会が完成しているようです。

そして,こういう時代による雰囲気の変化を研究することはできないのでしょうか。

世の中がルールに厳しくなる,という時に思い浮かぶひとつの心理特性は完全主義です。

完全主義と完璧主義

「完璧主義」という言い方をすることもあるのですが,心理学の学問の中では「完全主義」という言い方をすることの方が多いと言えます。実際,Googleで検索すると完璧主義が多いのですが,論文データベースで検索すると完全主義の方が多くヒットしてくるのです。

その問題については,こちらの記事も参照してください。

完全主義とパーソナリティ

さて最近,完全主義とビッグ・ファイブ・パーソナリティに関するメタ分析の論文が出てきました(Perfectionism and the Five-Factor Model of Personality: A Meta-Analytic Review)。メタ分析ですので,これまでに行われた多くの研究を統合して,全体的にどのような結果が得られるのかを検討した研究です。

この論文では,まずデータベースでキーワード検索をして最大2049本の論文を取り出しました。そして,そこからメタ分析に用いることができる論文を選ぶことで,最終的に77論文(95調査)を分析の対象にしています。

完全主義は,おおきく思考と行動に分けられて,関連が検討されました。結果は次の通りです。

◎神経症傾向:対思考 r = .42,対行動 r = .11
◎外向性  :対思考 r = -.20,対行動 r = -.03
◎開放性  :対思考 r = -.08,対行動 r = .11
◎協調性  :対思考 r = -.21,対行動 r = -.02
◎勤勉性  :対思考 r = -.15,対行動 r = .36

神経症傾向の高さと,勤勉性の高さが,完全主義のだいたいの特徴です。でも両者は完全主義の別の側面に関連していて,神経症傾向は完全主義的な思考に,勤勉性は行動面に関連するということがわかったという点が,この研究の面白いところです。

なお,ビッグ・ファイブなどの基本的なパーソナリティ特性の内容についてはこちらのマガジンをどうぞ。

完全主義の時代変化

そして,完全主義の時代変化についてです。

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