60代は自信満々?
「どうしておじさんの多くは自信満々なのだろう?」と不思議に思うことはないでしょうか。もちろん全員がそう,というわけではないのですけどね。でもどうもそういう雰囲気ってありませんか?
本当に,おじさんたちは自信満々だということになっているのでしょうか。今回は,自尊感情の成人期発達の研究を見て考えてみましょう。
20答法の演習から
先日,20答法に関する記事を投稿しました。20答法をやってみたことがない人は,ぜひチャレンジしてみてください。
何年か前に,この20答法をオープンキャンパスの模擬授業で実施したことがあります。そのとき教室には,高校生たちとそのご両親が集まっていました。
制限時間内にできるだけたくさんの文章を作ってもらい,合意反応・非合意反応に分けてみたり,親子で内容を見せ合ってみたりしました。そのあとで,書いた内容それぞれについて「ポジティブ」「ニュートラル」「ネガティブ」のいずれかで評価してもらったのです。そして,ポジティブとネガティブの個数を数えてもらいました。
親子の違い
教室にいる親子に,手を挙げてもらいます。
ポジティブな文章のほうが多かった人?
ネガティブな文章のほうが多かった人?
すると,もちろん例外はあるのですが,子どもよりもご両親のほうが,明らかにポジティブな文章が多そうでした。
「やっぱり,ご両親のほうがお子さんよりもポジティブな文章が多いですよね」と言うと,うなずく人が多かったのが印象的でした。
Robinsの研究
自尊感情の年齢変化を検討した研究で,外せない論文がいくつかあります。
ひとつは,アメリカの心理学者ロビンスたちの論文です。ちなみにロビンスは以前のこの記事にも登場しています。
その論文はこちらです(pdfはこちら)。
この論文では,32万6千人分のデータを使って,9歳から90歳までの自尊感情の平均値の年齢変化を検討しています。このデータセットですが,論文の著者にゴズリングの名前が入っていることからもわかるように,この後どんどんサンプルサイズが増えていき,100万人を超える巨大データセットになるものの途中経過だと思います。
そして,この論文の中に描かれているグラフはとてもよく知られているものです。ですので,ぜひリンクをたどってグラフを見てもらえるとよいと思います。最近の心理学のテキストのいくつかでもこのグラフを見たことがあります(自分が書いたものにも載せていましたっけ)。
年齢とともに,児童期には高い自尊感情が思春期に低下してその後やや持ち直し,成人期を通じて上昇していき老年期に低下していきます。そして,60代の男性がもっとも自尊感情が高い傾向にあるのです。
Orthの研究
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