豊かな子どもほど年を取ったときに左右対称の顔になる?

経済的な豊かさが,身体に影響を及ぼすという現象はよく知られています。

たとえば身長の伸びです。このサイトにも書かれていますが,日本では西暦1900年から2000年にかけての100年間で,6歳児の平均身長は約10から11cm,10歳の平均身長は15cm以上,18歳の平均身長は11cm以上伸びています。この間,国全体が経済的に豊かになり,栄養状態も良くなり,医療も発達しました。ほんの100年間という,短い(生物の進化のスケールから考えれば)期間にこれだけ体の大きさが変わるというのは,大きな変化です。

そのままではない

ただし,豊かになればなるほど直線的に身長が伸びていく,というわけでもありません。最近は日本でも身長の世代による伸びは止まってきているようです(豊かさの伸びも止まっていることの反映なのかもしれませんが)。

もともとの遺伝的な制限や生物的な制限もありますので,何でも「直線的にどんどん変わる」というわけではないことは,心に留めておく必要がありそうです。

顔の変化

何を食べるかによって,顔の形状が変わっていくという話も聞くことがあります。

この記事に書かれているように,江戸時代の人骨を調べると,庶民の顔は幅が広くがっしりしているのに対して,上流階級になるとほっそりとしてあごが小さい顔が多くなるのだとか。全体的に硬いものを食べる機会が多い暮らしと,柔らかい物を食べる機会が多い暮らしとでは,顔の形状も変わってくるというわけです。

そして,硬い物を食べるときにはどうしても,片方の歯を好んでよく使う傾向がある,そのようなクセがある人も少なくありません。ということは……顔が歪むことも?

顔の歪みと社会的地位

というわけで,こんな研究もあります。社会的地位と顔の左右対称性を検討した論文(Symmetry of the face in old age reflects childhood social status)です。

この研究では,1921年生まれのイギリスの調査が分析に用いられています。先進国であるイギリスでも,さすがに1921年生まれの人々という状況を考えると,社会的な地位の格差は大きそうです。

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