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仕事ができる人の性格

就職活動では,職業適性検査やパーソナリティ検査が使われることがあります。そういった心理検査の結果は,どのように使われているのでしょうか。

いや,私自身もよくわからないというのが正直なところです。得点を見て,学生の選抜に使うことはあるのでしょうか。あるいは,それはそれで,あくまでも参考資料のひとつとして使うだけなのでしょうか。

でも,実質的に選抜にほとんど影響しないのであれば,それはそれでやる意味があるのか?という疑問にもつながります。双方にとって時間と金銭の浪費になってしまいますよね。

逆に,選抜にとても大きな意味をもつのであれば「それを使って本当に大丈夫か?」という問題になります。適性検査の責任問題のような大きな問題が発生してくるというわけです。本当に意味のある検査になっているのでしょうか。少なくとも,検査を受けた人の将来がある程度予測できるような検査になっているのでしょうか。

性格は職業のパフォーマンスに関連するのか

果たして,そもそも性格検査の結果は職業上のパフォーマンスを予測できるのでしょうか。ビッグ・ファイブ・パーソナリティの観点から見てみるとどうなるでしょう。

実際にそういう研究があれば,参考になりますよね。

メタ分析論文

1991年に公刊された少し古い論文ですが(私が大学に入学した年です),ビッグ・ファイブ・パーソナリティと仕事のパフォーマンスとの関連を検討した研究があります。この論文(The big five personality dimensions and job performance: a meta‐analysis)です。

この論文では,1952年から1988年に公刊された論文を集めています。見つけられた論文からメタ分析で使えるものを残した結果,117論文から162サンプル(関連の個数)を見出しました。それぞれのサンプルの大きさは,13人から1401人で平均は148人,合計は23,994人でした。

仕事の内容から,おおよそ5つのグループに分けられています。エンジニアや弁護士や教師や医者など何かのプロフェッショナル(5%),警官(13%),経営者(41%),セールスマン(17%),そして聖職者や看護師や客室乗務員や医療補助者などの技術職(24%)です。経営者や警察官を対象にした研究が多かったようです。

パーソナリティとの関連を検討する仕事の要因は,次の3つです。それは,仕事の熟達,訓練の熟達,人事データです。仕事の熟達の多くは質問紙への回答,訓練の熟達の多くはトレーニングのパフォーマンスの程度を質問紙で回答するデータで得られていました。人事データは収入や離職などの個人データから得られたものでした。

職種とパーソナリティ

全体的な仕事のパフォーマンスとパーソナリティとの関連は,次のようになりました。

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