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性格の性差は世界共通?

「男性と女性は性格が違うものですよね」という「それって当たり前ですよね」ということが前提の意見です。

どれくらい,男女の性格の違いはあるのでしょうか。それもいいのですが,どれくらい「違うと思っているのか」ということを調べてみるのも面白そうです。「違う!」と考える人と「そんなに違わない」と考える人とでは,性別に対する捉え方も違いそうですよね。

心理学の研究は,こういう風にちょっと視点を変えてみると,また違う面白さが出てくることがあると思うのですよね。それもまた,面白いところです。

男女イメージの国際比較

ということで,男女の得点差そのものではなく,イメージを比較する試みをおこなった研究があります。この論文(Gender Stereotypes of Personality: Universal and Accurate?)です。

自分や特定の人を評価した得点ではなく,「青年期の男性を思い浮かべてください」「青年期の女性を思い浮かべてください」といったように,その国の平均的な人を思い浮かべてイメージで答えさせるという研究です。

ちなみに,この論文の表紙には著者が40名以上並んでいます。たまに心理学ではこのような論文がありまして,私自身にも経験があります。

この研究では,青年期・成人期・老年期という3つの年齢集団に注目してビッグ・ファイブ・パーソナリティの男女差を検討しています。さらに,26カ国を対象とした調査結果を用いて,パーソナリティの男女差がどのような国の特徴に関連するのかを検討しています。

調査の対象となった国は,インド,スイス,ペルー,イタリア,イラン,アルゼンチン,ウガンダ,チリ,日本,中国,香港,フランス,韓国,セルビア,ロシア,ポーランド,ニュージーランド,ポルトガル,オーストラリア,黒阿智,マレーシア,イギリス,アメリカ,エストニア,チェコ,スロバキアでした。

調査対象者は全体で3323名,平均年齢は22.3歳でした。調査の参加者たちは,それぞれの国での典型的な青年,大人,高齢者について回答しています。それぞれの年齢段階の男性について評定するか,女性について評定するかはランダムに割り当てられました。

イメージを測定

このように,この研究では自分自身を評定するのではなく,それぞれの人が生活する中での青年・成人・高齢者,そしてそれぞれの段階の男女のパーソナリティのイメージを得点化したというわけです。

さらにこれまでの国際比較のデータから,ビッグ・ファイブ・パーソナリティについて自己評価のデータと他者評価のデータを確認のために用いています。

男女のイメージ差

さて,どの国で男女のイメージの差が大きく,どの国で小さかったのでしょうか。

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