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年をとってもうまく言葉を使う人はこんな性格

高齢者が話をする真似をしてみてください。高齢者同士,あるいはたとえば自分のお孫さんに話しかけるような姿をイメージして,演技をしてみるのです。すると,その話し方にはひとつ大きな特徴があることに気付きます。

それは,話をする際の発話のスピードです。「高齢者が話す真似をしてみてください」と言われて真似をすると,意識しているわけでもないのに,ゆっくりと話をするのではないでしょうか。むしろ,速いスピードで発話をしながら「高齢者っぽく」真似をするのは難しいかもしれません。

演技をする時の「それっぽさ」からもわかるように,高齢になると,話をするスピードが遅くなります。

性格に関連するのか

よくしゃべる,という行為は人間関係だけではなく,単語や言語をいかにうまく使うかという知的な作業にも関連します。

対人関係面でよくしゃべる傾向がいちばん関連するパーソナリティ特性は何でしょうか。これまでの研究から推測されるのは,おそらく外向性です。

外向性の高さは,活動の量や大きさに関連すると考えられます。活発でよく動き,笑顔が多くよくしゃべる,外向性の高い人物像というのはそんなところにあります。

また,言語を使うということに注目すれば,開放性も関連しそうです。言語的な豊かさや表現の豊富さに,開放性が関連すると言われているからです。

国によって違うのか

もう一つの疑問は,年齢を重ねると発話のスピードが遅くなるのは,多くの国で見られる一貫した傾向なのか,国や言語によって違いが見られるのかどうかです。

平均スピードの違いのようなものがあるのかどうかはよくわかりませんが……考えてみると,どうやったら比較することができるのか,基準を考えるとなかなか難しい問題のように思えてきました。同じ内容を話し終える平均スピードを,国によって比較すればよいでしょうか。でも翻訳の問題やら何やら……。

いずれにしても,年齢による発話スピードの低下は共通するかもしれません。

言語の流暢性と性格

では,言葉のなめらかさやスピードを表す,言語の流暢性と性格は何か関連が見られるのでしょうか。この論文(Five-factor model personality traits and verbal fluency in 10 cohorts)では,各国の11サンプルのデータを使って分析しています。著者のSutin先生やTerracciano先生は,日本パーソナリティ心理学会にもゲストで来てくれたことがあります。

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