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販売ではなく、展示と興味を持ったユーザーデータが価値の実店舗モデル「b8ta」

先日サンフランシコ出張の折に、以前から気になっていたb8taの店舗を見てきた。b8taは、想像通りβ(ベータ)をもじったネーミングで、新製品のショールームという位置付けの実店舗ブランドだ。

置かれているのは、スマートホーム系のガジェットだったり、kickstarter発のようなプロダクトが多い。一方で、もうすでに認知が進んでいると思われるGoogle home系のプロダクトが目立つ形で展示してあった。

b8taが面白いのは、そのビジネスモデル。新製品を販売することで利益を得るリテール型のストアではなく、商品を展示し、興味を持つユーザーの動向などをモニタリングしたデータを企業に提供するという、BtoBのビジネスモデルを構築している点だ。

日本でも、今後スマートホーム系のライフスタイルを変えるような商品になればなるほど、世界観を作って展示して、この商品が生活の中に入ったときにどう便利になるのかを体験してもらう必要が出てくる。ガジェット類に強い層よりも、子育て層や家を購入する層に体験してもらわないと、魅力が伝わらない。家電量販店などの購入目的を持ってくる店舗ではなく、別のチャネルでリーチすることをより求めるようになるだろう。

こうやって考えているみると、ある意味b8ta的な価値を提供している実店舗があることに気がついた。蔦屋書店である。実際、BALMUDAのようなライフスタイル提案をしているプロダクトのプロモーションは蔦屋書店の店頭などで行われている。二子玉川の蔦屋家電とかまさにそうなんだろう。また、サンワカンパニーのショールームなどでも、家を購入する層がキッチンや資材を選ぶショールームにおいて、ソニーのプロジェクターなどLife space UX商品群の展示プロモーションが行われている。

限界効用低減の法則にしたがって、ユーザーの不満を解決するような商品や既存モデルのバージョンアップ版という商品カテゴリーへの購買意欲は減少し、ライフスタイルを変えてくれるサービスやプロダクトに生活者が求めるものはますます移っていく。その時に、商品開発だけではもはや難しく、体験してもらい購入意欲を高める「場」や仕掛けが必要になってくるだろう。

そんなことをサンフランシスコのb8taでは気がつかせてくれた。

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