人類の活動ではなく、自然が気候を支配する-CO2温暖化論の誤りを指摘する重要論文の要約(3)

フレッド・シンガー氏 編集による総説                                 <原文>Nature, Not Human Activity, Rules the Climate                Summary for Policymakers of the Report of the Nongovernmental International Panel on Climate Change                             気候変動に関する非政府間パネル(NIPCC)の報告による政策決定者向け要旨                                                2007年9月24日、チェコ共和国のヴァクラヴ・クラウス大統領は、国連気候会議での演説の中で、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による気候変動に関する、科学的議論の現在の独占性と一方的な方法を排除する事が、気候変動に関する議論に最も役立つだろうと述べた。同氏は、国連が並行パネルを組織し、競合する2つの報告書を公表することを改めて提案した。        気候変動に関する非政府間パネル(NIPCC)の現在の報告書はまさにそれを行っている。この報告書は、公表されている査読付きの文献で入手可能な証拠を、偏りや選択性を排除して独立して検証したものである。IPCCでは無視されていた多くの研究論文に加え、2006年5月のIPCC期限後に得られた追加の科学的結果も含まれている。                                        IPCCは、地球気候条約で想定されているように、人為的な温暖化と温室効果ガスの抑制という仮説を裏付ける報告書を作成するように、あらかじめ目的化されている。1990年のIPCC要約は、衛星データが温暖化を示さなかったため、完全に無視していた。1995年のIPCC報告書は、科学者によって承認された後に、人間の影響を印象付けるために、文章が大幅に変更された事で悪名高いものだった。2001年のIPCC報告書では、今では信用を失ったホッケー・スティックグラフに基づき、20世紀は「異常な温暖化」を示したと主張した。2007年に発表された最新のIPCC報告書では、人類によるどの影響をも凌駕する、太陽活動の変化が気候に与える影響を完全に切り捨てている。フレッド・シンガー / 科学と環境に関する政策プロジェクト(バージニア大学、環境科学名誉教授)                                     シンガー氏を含め17人の協力者による編集                                     Published by THE HEARTLAND INSTITUTE                                 ハートランドインスティテュートより発行                                 First printing: March 2008                                           <目次>                                              序文: フレデリック・サイツ氏による  P3                            序文: フレッド・シンガー氏による   P4~8                           1)序章  P9                                        2)現代の温暖化の内、どの程度までが人為的か?  P10~20                    3)現代の温暖化の殆どが自然に由来する  P21~22                      4)気候モデルは信頼できない  P23~26                         5)海面の上昇率が更に上昇するとは考えにくい  P27~28                        6)人為的な温室効果ガスは海洋を温暖化させるか?  P29                              7)大気中の二酸化炭素について、我々はどこまで理解しているか? P30~32                                          8)人類による二酸化炭素排出の影響は不明である  P33~35                    9)中等度の温暖化による経済的な影響は相当にプラスに働くであろう P36~37                                               10)結論  P38~40                                     11)フレッド・シンガー氏について  P41                            <序文-Foreword>
 2007年9月24日、チェコ共和国のヴァクラヴ・クラウス大統領は、国連気候会議での演説の中で、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による気候変動に関する、科学的議論の現在の独占性と一方的な方法を排除する事が、気候変動に関する議論に最も役立つだろうと述べた。同氏は、国連が並行パネルを組織し、競合する2つの報告書を公表することを改めて提案した。        気候変動に関する非政府間パネル(NIPCC)の現在の報告書はまさにそれを行っている。この報告書は、公表されている査読付きの文献で入手可能な証拠を、偏りや選択性を排除して独立して検証したものである。IPCCでは無視されていた多くの研究論文に加え、2006年5月のIPCC期限後に得られた追加の科学的結果も含まれている。                                        IPCCは、地球気候条約で想定されているように、人為的な温暖化と温室効果ガスの抑制という仮説を裏付ける報告書を作成するように、あらかじめ目的化されている。1990年のIPCC要約は、衛星データが温暖化を示さなかったため、完全に無視していた。1995年のIPCC報告書は、科学者によって承認された後に、人間の影響を印象付けるために、文章が大幅に変更された事で悪名高いものだった。2001年のIPCC報告書では、今では信用を失ったホッケー・スティックグラフに基づき、20世紀は「異常な温暖化」を示したと主張した。2007年に発表された最新のIPCC報告書では、人類によるどの影響をも凌駕する、太陽活動の変化が気候に与える影響を完全に切り捨てている。                    IPCCの基礎は5年前、頻繁に行われる国連気候会議が行われたミラノで、アメリカとヨーロッパの科学者たちの小さなグループが集まったときに築かれた。しかし、2007年4月にウィーンで開催されたワークショップでは、南半球の科学者を含む多くの科学者が参加した。                             NIPCCプロジェクトは、バージニア大学の環境科学名誉教授であるS.フレッド・シンガー博士により、構想かつ指揮された。彼はこの文献の編集に貢献した、優れた科学者たちを招集した事でも知られている。                        シンガー氏は、1960年代には最も卓越した科学者の一人であり、米国気象衛星サービス(現在の国立海洋大気庁(NOAA)の一部)を設立し、初代長官を務め、その技術的指導力が認められて米商務省の金賞を受賞した。1980年代には、全米海洋大気諮問委員会(NACOA)の副委員長を5年間務め、世界の環境問題に直接関わるようになった。                                 バージニア大学の退職後、連邦政府の運輸省のチーフ・サイエンティストを務めた後は、非営利団体である科学・環境政策プロジェクト(SEPP)を設立し、指揮を執っている。そこでは、私は光栄にも会長を務めさせて頂いている。SEPPの主な関心事は、環境政策を策定する際に、誇張された恐れではなく、健全な科学を利用することである。                              約40年前からの環境への関心は、私たちに重要な教訓を与えてくれた。環境問題が明確で深刻な場合に、思い切った対策や厳しい経済的な罰則を課すことは一つの方法である。しかし、問題の大部分が仮説に基づいたものであり、観測によって裏付けられたものではない場合には、このような措置をとることは愚かである。NIPCCが「地球温暖化」問題について独立した非政府組織の「セカンド・オピニオン」を提供することで示しているように、現在のところ、自然の原因以外の原因による重大な気候変動について、確固たる証拠も観測データも存在しない。                                    (フレデリック・サイツ ロックフェラー大学名誉学長米国科学アカデミー元会長 アメリカ物理学会元会長科学・環境政策プロジェクト委員長 2008年2月)                                               <序文-Preface>                                           大手術を受ける前に、セカンドオピニオンを求めたくなりませんか?国家が経済的な将来、あるいは生態系の命運を左右する重要な決断に直面したとき、同様にするべきである。科学では「チームB」を立ち上げるのは昔からの伝統であり、同じオリジナルの証拠を調べても、異なる結論に達する可能性がある。国連がスポンサーである気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が使用しているものと、同じ気候データを調査するために設立されたのが、気候変動に関する非政府間パネル(NIPCC)である。                          最も重要な問題に対する、IPCCの主張「20世紀半ば以降の世界平均気温の上昇の大部分は、人為的な温室効果ガス濃度の上昇が原因である可能性が極めて高い」(原文では強調)という点に対して、NIPCCは逆の結論、すなわち自然要因が支配的な原因である可能性が極めて高いという結論に達している。注意:我々は、人為的温室効果ガスには温暖化を引き起こす事は不可能、と言っているのではありません。私たちの結論では、温室効果ガスが重要な役割を果たしていない事を示す証拠がある、ということである。                 以下に、まず、この二つの組織の歴史を概説し、次に、NIPCCの報告書の本文を構成する結論と対応を列挙する。                                   (S. フレッド・シンガー 科学環境政策プロジェクト代表、ジョージ・メイソン大学 特別研究教授 バージニア大学環境科学名誉教授 2008年2月)                <IPCCの略歴-1>        
 1970年代以降の環境意識の高まりにより、化学物質による癌の蔓延、農薬による鳥類や他の種の絶滅、超音速輸送や後のフレオンによるオゾン層の破壊、酸性雨による森林の枯死、そして最後に「環境恐怖の母」である地球温暖化という「災難」の連続に焦点を当てられてきた(故アーロン・ワイルダブスキー氏による) 。                                               IPCCのルーツは、1970年の世界地球デー、1971-72年のストックホルム会議、1980年と1985年のヴィラッハ会議に遡ることができる。1986年7月、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)は、国連の機関として気候変動に関する政府間パネル(IPCC)を設立した(阿藤補足:実際は1988年で1986年は間違いです)。                                                         IPCCの主要な担当者と主執筆者は各国政府によって任命され、政策立案者向け要旨(SPM)は国連加盟国政府の承認を得ている。IPCCに関わる科学者のほとんどは、政府との契約によって支援されており、研究費だけでなくIPCCの活動費も政府から支払われている。原案作成者のための異国の地への旅費やホテル宿泊費のほとんどは、政府の資金で賄われている。                                           IPCC の歴史は、いくつかの出版物で説明されている。しかし、強調されていないのは、IPCCが最初から活動家の企業であったという事実である。その議題は、温室効果ガス、特に二酸化炭素の排出規制を正当化することだった。その結果、IPCCの科学報告書は、人為的な気候変動を示す可能性のある証拠のみに焦点を当ててきた。IPCC の役割は、「人為的気候変動のリスク、観測された影響と予測される影響、適応と緩和のための選択肢の理解に関連して、世界中で得られた最新の科学的、技術的、社会経済的な文献を、包括的、客観的、オープンで透明性のある視点から評価すること」(IPCC 2008)である。                                                           

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