役者は舞台の上だけではなく、きっとSNS上でも何者かを演じられるはずだし、そうするべきだという話

先日、九州演劇人サミットというのもに行った。九州の演劇界で活躍している人々が九州の演劇について喋るというもので、いつもはin.K.の中でしか演劇活動をしていないので、色々な話を聞くことができて面白かった。

その中で、少しだけSNSの活用について話題になった瞬間があった。とあるパネリストが「劇団はもっとSNSを使うべき」と言うと、他のパネリストが全員頷いていたのが印象的だった。

演劇の集客において、SNSが全てというわけではないと思う。僕はフォロワーが5000人弱いるけれど、友だちが少ないので、ほとんど自分が携わっている公演に人を呼ぶことができない。しかし、大学生の女の子は一人で10人も20人もお客さんを読んだりする。それも、自分が出演する公演では無いのにも関わらずだ。そう考えると、別にSNSなんて意味がないのかなと思えてくる。

しかし、自分が知らないところに届けるためには、やっぱりSNSが必要だと思っている自分もいる。よくよく考えれば、今SNSを大して使っていないのにお客さんを呼べている人たちがSNSを活用できるようになれば、怖いものなしになるのではないか。

しかし、SNSにも問題点がある。そう、更新が面倒くさいのだ。僕はTwitterが大好きなのでTwitterを例にとるけれど、息をするようにタイムラインを関ししてツイートする僕みたいな人以外は、毎日1ツイートするというだけでも大変なものらしい。さらに、フォロワーを増やすような活動をするとなると話はもっと大変になる。

しかし、役者というのはそもそもTwitterを活用するのに向いているんじゃないかと思う。舞台に立つためには、自分がどう見られているのかを常に客観的に意識できなければならない。そして、そこから自分の立ち居振る舞いや言葉の発し方を調整していく。その積み重ねで、本番では理想通りの人物を演じることになる。

Twitterもこれと似たようなもので、人気が出るような人柄を演じれば良いのである。もちろん、個々人のパーソナリティーがあるだろうから、それを生かすような形で使っていくのが望ましい。インターネット上で、自分がどう見られているのかを意識する。それができれば、Twitterなんて簡単なのではないかと思うんだけど。

これは別にTwitterだけではなくて、Instagramを使うにしても、TikTokを使うにしても、YouTubeを使うにしても言えることだと思う。とにかく、インターネットに言葉や自分の姿を残していくことで、人々に覚えてもらい、やがて劇場に来てもらうというような流れができないかと考えている。いわゆる“単純接触効果”というやつだ。なんとなく見たやつでも、何回も繰り返し見ていれば自然と好きになってしまう。

僕は演劇が好きだけれど、別に演劇という形式にこだわっているわけではない。というか、むしろ演劇らしさみたいなものを積極的に解体していかなければ、演劇に未来はないと思う。テレビもラジオも、印刷技術さえなかった頃からある芸術のスタイルが、これからも生き残っていくためには、何かしらの方策が要請されるのは自明のことだろう。演劇には「いま、ここ」という重大な特徴があるが、それだけでは足りない。むしろ、演劇を駆逐しようとする新メディアたちを逆に利用することが必要だと思う。


なんてことを書いている僕は現在、熊本のstudio in.K.という小劇場のお手伝いをしております。主にオリジナルミュージカルを上演していて、今はプラトンの『饗宴』をミュージカライズするという、何とも不思議な取り組みをしています。

公演情報はTwitterアカウントで発信しているので、ぜひ熊本にお立ち寄りの際は観劇にいらしてくださいね!

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