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かつて私は偉大な人物になりたかった

国や世界を変える偉大な政治家、偉大な起業家、偉大な研究者

人類文明を進化させ推し進める使命さえ感じていた

先進的な事を成し遂げて、歴史にその名を残したいと思っていた

けれど才が足りなかった

だから、文章で昇華したりしているのだ

かつて私の文は虚像だった

己を強くみせようと必死に強い言葉を使う
虚ろなものだった

己の認識不足、至らなさも知らず、自分が間違いだと思ったものについて苦言を呈し、文で以てして何処にでも落ちていそうな意見を添えていたのだ

なんともおそろしい配慮のなさだった

そのようなことまでして私は偉大にみせたかったのだろう

偉大にみせかけて、己の知性を証明して、賞賛させ、資本を集中させたかったのだろう

誰も相手はしてくれなかったが、それでよかったと思える
あの程度の知恵しか持たぬかつての私は玩具にされて終わりだった

身の程を知って、己の才のなさを実感して、己は間違っていたのだとわかった

あの時、私は精神的にもおかしかった
よく考えてみると精神病だったのであろう

不安定な心理状態だった
家族関係も上手くいっていなかった
だからああいった普通でない文を書いていたのだろう

己の才を信じてやればよかったのだ
文を書くにしてももっと己の文才を信じてやって極めればよかった
学問に道に進むにしても、政治家の道に進むにしても、スポーツ選手の道に進むにしてもだ

己の才の限界を知り、素直にここまでかあと思えればよかった

ただそれだけでよかったのだ

そして、出来る範囲で好きなことをやれていればよかったのだ

偉大な人物になりたかったのは、己を強く見せる為の虚像に過ぎなかったのだ

野心深く生きて、欲深く生きて、そうやっていないと周りから殺されるような気がして、気を張っていたのだ

何かに怯えていた

いじめられるのではないか?
強い自分がいないと殺されると思っていた

だから偉大であろうとした
何もかもを壊されるような気がして

あれは弱さだった
脆くて今にも崩れ落ちそうな自分の精神を保つための虚像だった

そう思えるようになったのは、己が誰にも相手をされなかったからだ
何をやっても伸びなかったからだ
本当によかった
助けられた
気付かされた

本当はそんなことが書きたかったわけでも言いたかったわけでもなかったのだ
もっと優しくありたかった
本当はもっと健康でありたかった
苦しみたくなんてなかった

いいものを作って楽しませたかった

わたしは誰も憎みたくなんてなかった

裕福でありたかっただけだ

滅びたくなかっただけだ

どうにかじぶんに富を集めたかっただけだ

けれどやり方を知らなかった
今でもわからない

それでも人としての道は踏み外していないと思う

どうやら犯罪にだけは手を染めないような精神性と知性が私には備わっていたようだ

神に感謝かな

感情で我を忘れて罪を犯すようなことはなかった
そういう頭の仕組みだった

そうはいえど私もあまりいいとは言えない発言をしてきた

そういうことを発言してしまう程度には信用に欠ける人間なのだ

不完全で間違いだらけだ

悪意はなかったかも知れないが、知性が足りていないから間違えを起こすのだ

私の限界なのであろう

それでも、研鑽を積んでいって、過去の私を修正していくことは出来る

私に出来るのはそれくらいだ



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