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顧客を成功に導く方法〜プロダクトフィードバック編〜

カスタマーサクセス Advent Calendar 2018の24日目の記事です。テーマはCSにおけるプロダクトフィードバックについて。

僕はクラウドサインという電子契約サービスのカスタマーサクセスチームに所属しています。普段の業務領域は導入後のお客様対応。チャット、メール、電話、対面など、お客様と日常的に多くのコミュニケーションをとっており、仕事の目的はお客様を成功に導くこと。Advent Calendarにエントリーしている他のみなさんも記述していますが、カスタマーサクセスはお客様あってのお仕事です。

お客様を成功に導くための方法としてオンボーディングやヘルススコア管理など様々なものが議論されますが、SaaSを提供する私たちにとって最も重要なのは「プロダクト」です。どんなにカスタマーサクセスが目の前のお客様のお手伝いをしても、結局彼らの課題を解決して成功に導くのはプロダクトなのです。

この点において、先日カスタマーサクセス Advent Calendar 2018の10日目にベルフェイスの小林さんが書かれた記事が非常に素晴らしく、以下にリンクを掲載しますのでご覧ください。


小林さんの記事にもある通り、カスタマーサクセスではなくプロダクトこそがKingですが、そのプロダクトの未来を左右するのもカスタマーサクセスです。

少々前置きが長くなりましたが、最高のプロダクトを通してお客様の成功を実現するために、クラウドサインのカスタマーサクセスチームが取り組んでいるプロダクトフィードバックについてご紹介します。

クラウドサインは利用業界や利用類型を問わず様々なシーンで利用されています。おかげさまで導入社数も3万社を超え、それだけの規模のお客様と日々コミュニケーションを行う私たちには業種業態や規模の大小を問わず日々大量のフィードバックが寄せられています。

お客様から受け取った要望をそのままプロダクトチームに伝えるだけであれば非常に簡単ですが、いわゆる表面的な「機能要望」の先にある顧客が本当に解決したい課題を探り、プロダクトに反映させるメリットや優先度に落とし込み、プロダクトマネージャーが正しい意思決定を下すための情報整理を行うところまでをカスタマーサクセスチームの役割としています。

さて、クラウドサインでは具体的に次の手順でプロダクトフィードバックを行なっています。

①機能要望に対し、解決したい課題と目的に落とし込み確認する
②顧客の課題と解決のためのアプローチをCSチーム内に集計する
③課題と、それを満たしうる機能にグルーピングする
④機能実装のビジネスインパクトで優先順位を導き出す
⑤定性評価を加え、週次で優先順位をアップデートする
⑥プロダクトチームに伝える

①、②については前述したとおり。「◯◯機能が欲しい」という表層的な要望をそのまま伝えるのではなく、本質的に解決したい課題や代替手段の有無をお客様との丁寧な会話で認識をすり合わせます。

お客様が解決したい課題をグルーピングし、改めて「機能要望」の形に落とし込みます。このプロセスを経ることで、CSメンバー間での共通言語化することができ、属人化を防ぎます。これが③です。

④では、③で積み上げられた定性的な要望を意思決定可能な定量データに落とし込みます。一般的によく行われるのは「A機能の要望は5件、B機能の要望は10件だったのでB機能を実装しよう!」という優先順位付けです。

これはこれで良いのですが、実装によるビジネスインパクトは「B>A」ではない可能性を看過する落とし穴があります。例えばAまたはBの機能を実装しなければ顧客がチャーンする場合、MRR3万円の顧客が10社チャーンするのか、MRR50万円の顧客が5社チャーンするのか、単純な人気投票では見定めることができません。

したがって、クラウドサインではプロダクトフィードバックを次の項目により自動的に集計し、一旦の優先順位付けが行われます。

①顧客セグメント(戦略上のターゲットに対する重み付け)
②MRRの合算値

これにより、何の機能を実装することで事業経営上どのようなインパクトをもたらすのかを定量的に示すことが可能です。

上記項目に加え、定性評価によるスクリーニングを行い、週次でプロダクトフィードバックリストを更新し、それをプロダクトマネージャーに繋ぐことまでをプロダクトフィードバックとして行なっています。

このお客様からヒアリングを行い、プロダクトマネージャーに繋ぐまでの一連のプロセスがしっかりと構築されていることがクラウドサインのプロダクトフィードバックにおける強みだと思います。

営業は外見美人を目指す。カスタマーサクセス は内面美人を目指す。

また、クラウドサインでは営業とカスタマーサクセスでプロダクトフィードバックを分けています。分ける理由については営業のフィードバックは導入を推進するためのもの、カスタマーサクセスのフィードバックは顧客を成功に導くためのもので、それぞれ役割が異なっているからです。恋愛に置き換えてみると、営業が実現しようとしていることは外見を良くすること。イケメン、高身長、高学歴など。重要なのは相手に付き合いたいと思わせることです。それに対し、カスタマーサクセスが実現しようとしていることは中身を良くすること。優しい、気が利く、話が面白いなど。重要なのはいつまでも一緒にいたいと思わせることです。言うは易しですが、たくさんの異性に対し、全員にいつまでも一緒にいたいと思わせるのはなかなか困難です。あちらを立てればこちらが立たずみたいなことにもなりかねないので。

話が逸れましたが、要はカスタマーサクセスにおけるプロダクトフィードバックは「プロダクトとしてのアプローチにより顧客を成功に導く」ことに寄与する行為なのです。

クラウドサインではそんなプロダクトフィードバックから機能の実装についてのロードマップを公開しておりますので、興味がある方はぜひのぞいてみてください。

長くなりましたので、最後にまとめです。

・クラウドサインの価値を感じてもらうために最も重要なのはプロダクト自身である
・カスタマーサクセスチームはそのプロダクトを良くするためのフィードバックを行う
・クラウドサインのプロダクトフィードバックにおける強みはお客様からヒアリングを行い、プロダクトマネージャーに繋ぐまでの一連のプロセスがしっかりと構築されていること
・この一連のプロセスこそが「プロダクトを通して顧客を成功に導く」ことそのものである

最後までご覧いただきありがとうございました。

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