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PGAツアーの「曲がり角」

 ラームのLIVゴルフ移籍により苦境に立たされているPGAツアー。
また一つ、悩みの種を抱えてしまいました。

 全米第3位、支店数が全米一多い金融機関であるウェルズ・ファーゴが、5月に開催されるウェルズ・ファーゴ選手権のスポンサーを来年いっぱいで降りるという報道が流れました。

 このウェルズ・ファーゴ選手権はPGAツアーの「シグネチャーイベント」として開催される試合の一つで、この降板劇はPGAツアーに対していろいろな意味を持ちそうな出来事になりました。


1.シグネチャーイベントとは

 LIVゴルフは1試合に賞金が2000万ドル(個人戦、団体戦で500万ドル)かけられています。個人戦優勝者には400万ドルが、団体戦にも優勝チームに400万ドルが贈呈されます。

 LIVゴルフの高額賞金に対抗する策として、コミッショナーであるジェイ・モナハンは現存するPGAツアー8試合のグレードを上げ、賞金総額が2000万ドル、優勝賞金が400万ドルとして開催することとしました。

シグネチャーイベント8試合は以下の通りです。
ザ・センチュリー           (1月4日~7日)
AT&Tペブルビーチ・プロアマ    (2月1日~4日)
ジェネシスインビテーショナル     (2月15日~18日)
アーノルド・パーマーインビテーショナル(3月7日~10日)
RBCヘリテージ           (4月18日~21日)
ウェルズ・ファーゴ選手権       (5月9日~12日)
メモリアル・トーナメント       (6月6日~9日)
トラベラーズ選手権          (6月20日~23日)

 またLIVゴルフの「3ラウンドノーカット」という点にそろえ、シグネチャーイベントも「4ラウンドノーカット」という競技内容にしました。

2.あれっ、これって”真似事”では・・・

 シグネチャーイベントを行い、LIVゴルフへ移籍する選手を引き留めようとしているモナハンを始めとするPGAツアーですが、賞金額も同じで出場選手全員に賞金が行きわたるシステムはほとんどが”真似事”。
 強いて違いを言うならば、LIVゴルフは3ラウンド競技で世界ランクのポイントが付与されないこと。PGAツアーは4ラウンド競技で世界ランクのポイントが付与されること位の違いではないでしょうか。

3.スポンサーも耐えられない。

 選手1人1人に払う賞金総額が2000万ドル、そして試合運営にかかる費用を考えれば、従来からスポンサーになっていた企業の体力が持たなくなるのは自明の理。
 ウェルズ・ファーゴが撤退することで他のスポンサー(AT&T、ジェネシスなど)も今後を考えて行くことでしょう。
 LIVゴルフのメインスポンサーがPIF(パシフィック・インベストメント・ファンド:サウジアラビアの政府系ファンド)であり、潤沢な資金をバックに莫大な賞金額で試合を開催できることがLIVゴルフの長所。
 モナハンもこれに対抗したのですが、今年6月PGAツアーとLIVゴルフが統合同意したことで、PGAツアー側も対抗できなかったのではと考えます。

4.モナハンの”掌返し”が仇に

 モナハンの”掌返し”も仇になりました。
 今までLIVゴルフには絶対反対の姿勢を取り、LIVゴルフ移籍者はPGAツアーから追放するとしておきながらの統合同意。
 そしてシグネチャーイベントを開催したところで、高額な賞金を払いきれないことでスポンサー降板。
 そして今年中にPGAツアーとLIVゴルフとの統合を明白にしようとするも、未だに進展なし。

 来年以降、平穏無事にPGAツアーを続けることができるしょうか?

(追記)
 PGAツアーとLIVゴルフの合意、先延ばしになったようです。
 決着は、いつ?


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