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ZERO : FEVER Part.2 世界観

【A INTRO】

手にしたクロマーが光ったが、僕はまだアジトにいた。僕を見ているメンバーも同じだった。
黒いフェドラをかぶった男から様々な次元の話を聞き、手にしたクロマーを見ていると、信じられないような夢のような話だった。
その時、外から知らない声がした。その声が近づくと、突然白装束の巨人たちがアジトの扉を破って現れた。
彼らは顔全体を覆う仮面をつけており、人間とは思えない。彼らはクロマーを見ていた。

【ホンジュン】

ここがどこなのか、ここが本当に異次元にあるのか、そんなことはどうでもよかったんだ。今大事なのは、あの危険な白装束の巨人が僕らの手にあるクロマーを狙っていること、そしてクロマーを失えば故郷には帰れないということだ。
クロマーとメンバーを同時に守らなければならないのだが、それはむしろ賭けのようなものだった。
その時、足元の割れたガラス片が目に入り、ユノからクロマーを受け取り、巨人たちを挑発し始めた。
"クロマーをやる "と叫んで、手に持っていたものを窓から投げ捨てた。後ろから見ていたメンバーはショックを受けていた。
キラキラした破片がアッと言う間に飛んでいくと、白装束の巨人たちは慌ててそれに向かって走り出した。同時に、「逃げろ!」と叫んだ。

【サン】

アジトの周辺は、かつて僕たちが滞在していた場所とよく似ていた。
もし奇妙な生き物を目の当たりにしなければ、異次元やクロマーの話など信じられなかっただろう。
幸いなことに、僕たちは無事にアジトを脱出し、周囲の地理に慣れていたおかげで、暗闇の中でも途中まで道を見つけることができた。

目に見える空間は、僕たちが知っている現実と似ているが、少し違っていた。昔、ウヨンが僕たちのボボを助けた崖の下には谷があり、その上に巨大な岩があったのだが、ここでは水の流れる音も、巨大な岩も見えない。
同じなのに、妙に違う空間。

そんなことを考えているうちに、メンバーの笑い声が聞こえてきた。しばらく休んでいたメンバーたちは、クロマーの無事を確認して安心して遊んでいた。ホンジュンが窓から投げ捨てたのは、クロマーを模したガラス片であって、本物のクロマーではなかったのだ。

【ウヨン】

僕を救ってくれたのは、月明かりによく似合う女の子だった。
少女は快く僕たちを家に招待してくれた。追いかけられて逃げるのに疲れた僕たちはすぐに眠り、その間に少女は僕の痛めた足首を治してくれた。
森の中で休んでいると、ガラスの破片に惑わされた白装束の巨人が再び襲ってきた。
僕は巨人に足首を引きずらていたが、メンバー全員が駆けつけて助けてくれた。
けど、結局クロマーを失うことになった。
彼らにクロマーを奪われ目を離していた隙に、森の中の洞窟から石が転がってきた。そこに向かって走っていくと、洞窟の中にいた少女が岩の隙間から手招きをした。
その少女には弟がいた。少年は、白装束の巨人が少女の声を奪ってしまったので、話すことができないと言った。二人はグライムス兄妹と名乗った。

【ソンファ】

「ある日突然彼らが消えたんだ!」グライムス兄妹は悲しそうな目で僕たちを見ていた。

グライムス兄妹によると、ここの中央政府は、AIシミュレーションを行うことで、全人類の安定した未来政策を確立したという。
彼らは、人類を脅かす犯罪やテロを引き起こす原因を人間の感情が原因だといい、そのため人間の感情という要因をコントロールすることが政策の要となった。
先端技術を駆使して人間の感情を基準値以下に下げる法案や、人間の感情に大きく影響する芸術を禁止する法案などが成立していた。
その結果、中央政府は強力な統制政策の下で高度成長を実現し、人々は物質的な豊かさを得られた。だか、人々の顔から笑いは消え、効率と論理だけが優先される社会となった。
そんな日々が続く中、ある日、黒いフェドラ帽をかぶった男たちが現れ始めた。
彼らはあちこちで歌い、パフォーマンスをし、それが人を引きつける力があると言われていた。パフォーマンスに刺激され、支配から逃れた人たちが現れ始めた。様々な分野の人々が中央政府に対する抵抗組織を作り、自分たちを「黒の海賊」と呼んだ。
「ブラック・パイレーツ」と。
中央政府はブラックフェドラの男たちを指名手配したが、クロマーを使ってテレポートできるため、何度も逮捕に失敗した。
しかし、ついに新型のアンドロイドガーディアン(おそらく、我々を捕まえに来た白装束の巨人)を投入することで、政府はブラックフェドラの男たちの捕獲に成功したのである。
黒の海賊団と抵抗組織、そんなことはどうでもいい。重要なのは、故郷に帰るためにクロマーを必要とすること、そして、クロマーをアンドロイドガーディアンに奪われたことだ。

【ヨサン】

最愛の父へ

父さん、僕は今、戻ってこれないかもしれません。 "ストリクトランド "に向かって歩いているんです。
いつもまっすぐできれいな道を歩いていたのに、いまはでこぼこ道を歩いているので、足がズキズキします。
足は痛いけど、気分はいいです。
それは、仲間と一緒に、自分で決めた場所に向かって歩いているからです。

みんなは新しい世界だと言うけれど、僕はなぜかここの風景に馴染みがあります。
森から下りてきて直面した街。
追われるように空も見ずに走っていく人たちが目につきます。
機械に乗せられた商品のようにエスカレーターに乗る人、余計な笑顔を消して用件だけを話す人、小さな機械ばかり見ていて、顔を合わせることを忘れてしまった人たち。
ここは新しい世界ではなく、自分が生きていた世界を顕微鏡で見ているだけなのかもしれないと思いました。

お父さん、僕がこの仲間たちと歌って踊っている姿を見て、ショックを受けたのはわかります。
でも、僕は本当に自分が生きてきた世界、閉じ込められていた世界から抜け出したかったんです。
僕は両親をとても愛しています。でも、あなたたちの世界で幸せになったことは一度もありません。
今まで隠れ家にしていたアジトを追い出され、離れ離れにならざるを得なかった時、もっと辛かったのは、僕たちを追い出したのが父さんだったということです。
僕を快く彼らの世界に受け入れてくれた友人たちから、幸せを奪ってしまったのは僕です。
最初から出会っていなければ、こんなことにはならなかったのにと悔やんでいます。
父さんを恨みました。
父さん、だから僕は父さんが創った世界には戻りません。
愛していないわけではありませんが、もう父さんを責めたくないのです。

あなたの息子、ヨサンより

【ミンギ】


クロマーを見つけるには、アンドロイド・ガーディアンのバンカーに行かなければならないが、バンカーを知っているのは、ストリクトランドのゴミ捨て場の管理人であるレフト・アイだけだ。
だから、この場所に来るしかなかったんだ。

ゴミを燃やし続けているのか、幻覚を見るといわれる黄色い煙が絶え間なく立ち込めている。そのせいか、レフト・アイという男は空中でブツブツと独り言を言っていた。
ふぅ...あの人からどうやってアンドロイドバンカーの場所を特定するんだ?

おせっかいなウヨンのおかげで、グライムスの少女の声を取り戻すとともに、アンドロイドのバンカーの場所を突き止めることになった。あの男はいつも不必要におせっかいなんだ。

ホンジュンやグライムス兄妹から聞いた話によると、あのレフトアイの男も彼自身の事情を抱えているようだ。なんにせよ、事情のない人間などいないか。
とにかく、チームに分かれる。
洞窟のようなゴミの山に入って声を探すメンバーと、レフトアイを説得してアンドロイドのバンカーの場所を聞き出すメンバー。僕は後者だった。

【ジョンホ】

バンバン
バスケットボールの弾む音が聞こえた。聞き間違えかと思った。

少女の捨てた声を探すため、僕は細い紐を体に巻き付け、顔にガスマスクをつけてゆっくりと洞窟の中に入っていった。(誰かが声を捨てて、それが戻ってくるなんてこともわからないが、新しいエネルギーを抽出するものだから可能だそうだ)

声の形を見るのは初めてだ。グライムス少年に形や色はあるのかと尋ねると、中に青いエネルギーが凝縮されたビーズのようだという。少年が言ったビーズは、黄色い煙の奥で光っていた。

すると、またバスケットボールが跳ねる音がした。僕が足を止めると、バスケットボールが僕の足の前に転がってきた。
「勝利は僕のものJ.H. 」
僕のボールだったんだ。
見上げると、僕はスタジアムの中に立っていた。

"何してるんだ?パスしろ!"
チームメイトに怒鳴られた。
デジャヴなのか......?
僕は頭が真っ白になった。
スタジアムに笛が鳴り響いた。
ちょっとだけ変な夢を見たような気がする。
何かを探していたのだが、それが何だったのか思い出せない。
再び試合が始まった。僕はコートに駆け込んだ。

【ユノ】

ファッションデザインを学んだ後、小さいながらも個性的なブランドショップを経営していたレフトアイは、その無愛想な外見から、ファッションハウスでの面接で失格になることが多かったみたいだ。しかし、素晴らしい技術を持ち、情熱のある温かい人だった。娘を亡くすまでは。

娘が道路に咲いていた花を助けようと手を伸ばした時に、スピード違反の車に轢かれた。人々は、周りを見ることよりも早く前に進むことが大切だと考えていた。車に轢かれ、路上に倒れている子供を見ても、人々は何も見なかったことにして通り過ぎるのに精一杯だった。その間に、子どもはゆっくりと死んでいった。
レフトアイは、後にこの事実を知って激怒し、絶望に陥り、それ以来、全く別の人間になってしまったという。

娘を失った後、ストリクトランドのゴミ捨て場で妄想を生み出す煙に酔いしれているうちに、娘の幻影に出会う。
そして、ゴミ捨て場をさまよっているうちに、アンドロイドガーディアンに選ばれ、ストリクトランドの支配人となる。

話を聞いていて、ずっと兄さんのことを思い出していた。レフトアイの気持ちに少し共感した。レフトアイを見ていると僕が兄さんを亡くした時のことを思い出すんだ。初めはアンドロイドバンカーについて調べるつもりだったが、個人的には彼のことも助けてあげたいと思った。

そのためには、煙がひどくない場所に誘い出す必要があった。
自分の見ている娘が現実ではなく、幻であることを認識させなければならないからだ。

【Z OUTRO】

ジョンホの体に結ばれていたロープが止まり、もう動かなくなった。
心配したヨサンは、最後に残ったガスマスクをつけてゴミの洞窟に入り、状況を確認した。


ジョンホが足首を痛めた試合は、目の前で繰り広げられていた。ジョンホは、今までのことを単なる幻影やデジャヴと割り切り、その過去の不名誉を払拭するために、より激しく走り出した。


レフトアイがメンバーに襲いかかり始めた。追いかけてくるレフトアイから逃げるように、密かに煙のない空間に誘い込んだ。
娘の幻影が消えると、彼はさらに激怒した。
みんなどうしていいかわからずにいたが、静寂の中でユノが叫んだ。

「あなたの娘さんは死んだんです!」

皆は驚いてユノを見た。

「信じたくないから否定しているんだろうけど、もう真実はわかっているんじゃないですか?」

ユノはもう一度彼を問い詰めた。

「殺すぞ!」
レフトアイは悲鳴を上げ、大きなバットをユノに振りかざした。


「ジョンホ!」
ヨサンが到着したとき、ジョンホは幻想に酔いしれ、崖に向かって猛然と走っていた。


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