戯曲・劇中劇

八日目の蝉を戯曲になおしている。前半は誘拐犯である希和子の独白なのであるが、セリフを書き起こし、行動をト書きに起こす中で、不思議なものでまるで自分も希和子と一緒に旅をしているような、まるで希和子になったような気持ちになる。
今まで一度も母親になったことはないのに、庇護しなくてはいけない小さいものを抱えているような。希和子の目線で世界を見ている。こんなことがあるとつくづく、脚本を書くというのは身体的な行為だよなと思う。

ガープの世界の悲劇的な劇中劇が大好き。
泣く女。シカゴを覚えてるか?
宙に舞う手袋。悲しげな音楽。悲しげな歌声。
落ちてきたピアノに潰されてしまう男。
なんでたった30秒程度のこの劇中劇にこんなに心惹かれるのかわからない。

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