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山賊鍋

夕方、夫からLINEが入った。
「お昼食べ損ねたから冷蔵庫の焼き鳥風と煮物もらいました」
「18時帰宅です」
「ご飯いりません」

今日の夕食は要らないと聞いていたから、午前中になにも料理せず、今日のわたしの夕食で昨日の余りものを片づけるつもりだった。
それなのに昼に一度帰宅した夫に余りものをすべて食べ尽され、しかも夕食の時間帯にはしっかり帰ってくる。ご飯はいらないと言っているが、そもそもわたしの夕食分を食べ尽されているので結局料理はしなくちゃいけない。

ストック無し。作る心づもりも無し。
会社と家の間にあるスーパーで白菜1/4カットと豚肉を買う。大鍋に水・だしパック・醤油・酒・みりんを入れ、白菜をばさばさ切ってぶち込む。昨日使い切れなかったニンジンを発見したので薄く切ってぶち込む。豚肉をぶち込む。終わり。
『山賊鍋』である。
その名は、山賊みたいな気持ちで今夜作ったことに由来する。そう、今日生まれたばかりのお名前です。料理は好きじゃないけど、切ったり煮たり炒めたりすると目の前の形あるものがどんどんしなしなして気持ちが良い。山賊のように猛々しくささくれたわたしの気持ちもすっかりおさまった。

夕食はいらないと言ったのはわたしへの遠慮だったからなようで、山賊鍋を夫も食べた。喜んで食べていたので、八千円、と請求しておいた。

※ゆずを入れればいいとか生姜を入れればいいとかそういった料理のアドバイスは申し訳ないですが興味がなく受け付けたくないので窓をあけて近所の人に叫んでくださいね。

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