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イノシシとの思い出

イノシシはわたしにとって身近な動物だ。
地元、神戸ではよくイノシシと遭遇した。
学校の裏の山に遠足に行けば、学年に一人は必ずお弁当を食べられて泣いている子がいる。先生が必死で追いはらう。

駅から帰宅する道のり、曲がり角からイノシシが曲がってくる。イノシシは、角を曲がれる。

刺激してはいけないし、買い物帰りの人はビニル袋をガサガサ鳴らしてはいけない。イノシシは単車くらいの大きさのものもいる。
遭遇したとき、町の人たちとは静かな連帯感が生まれる。目くばせをし、みんなで静かにそろりと後ずさる。
気づいていない人には小声で「イノシシがいますよ」と伝える。イノシシのほうから自発的に、ここには異常無しという顔をして立ち去ってもらわないと、その先には進めない。

お笑い芸人ピースの綾部氏のような感じのファッショニスタであるわが弟は、走ってくるイノシシに運悪くロックオンされて、サングラスを自らぐぁしっと外し、めちゃくちゃ走ったらしい。マンションのエントランスに逃げ込んで、ことなきを得た、というくだりを数年は続けて聞かされた。

時々参加する地元の同窓会ではひとしきり喋って間が持たなくなると、最近のイノシシの南下状況の話でまた盛り上がる。

イノシシだって好きで町におりてきている訳ではなく、人エリアと山エリアが近づき過ぎているからなのだ。害獣にさせられている。これについては知識が乏しいからあまり書かないようにして…

#おやすみ名前の知らない人たち というツイッター上での文学遊びで、里山という緩衝地帯が少なくなり、動物が害獣になってしまうということをテーマに作品を作ってみた。

書いているうちに野生動物感はさっぱり消えてしまったけれど。
ちなみにこのお題画像も神戸の港を写したものなので、思い入れのあるものになった。

#猪 #日記

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