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見どころが多かった応援席・対立教2回戦

東京六大学野球、早稲田は立教に敗れ、1勝1敗になりました。

試合結果は残念だったのですが、一方で応援席には見どころが多く、見るべき点も多かったので、その一部をご紹介します。

その一部、というのは、私が見逃している点も多々あると思いますし、書くのはもうちょっと後にとっておいた方がもっとよくなりそう、と思って今はまだ書いていない点もあるためです。

ですので「一部」ということでお読みいただければと思います。


まず、楽団です。

私は第1試合の日に試合前の音出しから聞くのを楽しみにしているのですが、今の課題を具体的にとらえていた点が印象に残りました。

昨日は手探りで、久しぶりの神宮で、感覚が戻っていなかった人もいたかもしれません。

しかし今日は試合前から修正が効いていました。さすがだなあと思って聞いていました。

私などが言うのは恐縮なのですが、音楽はまさに生き物で、日によって、メンバーの数だったり調子だったり機嫌だったり、いろいろな要素で変わってくるものだと思います。

その上、神宮は風という要素もあるので、音をまとめ上げるのは大変だと思います。少しでもいい音を追求しようという楽団の頑張りに、すごくいいなと思いました。


そして、試合前に場内当番のリーダーが小さな画用紙で「笑顔」という文字を掲げて今日のテーマとして伝えました。

この手法、去年も行われたのですが、神宮に来るお客さんはお子さんから学生さんからお年寄りまで、さまざまです。

そのさまざまな人を「チーム早稲田」としてまとめ上げる手段として、画用紙という目に見える形で、今日のテーマを伝えるというのは秀逸だと思いました。

くしくも今日はずっと追いかける展開で、笑顔を意識しないといけない展開になりましたし、「チーム早稲田」という全体目標は笑顔とともに達成されるものではないかと思いますので、その意味でもよい提示だったと思います。



そして同じ試合前なのですが、私がいったん席を外して階段を下りようとしたとき、チアがベビーカーを抱えて昇ってくるところを見かけました。

よく見ると、後ろに2歳くらいの女の子を抱っこしたお父さんと思われる男性が階段を昇ってくるところでした。

小さい子を連れているとき、エレベーターがなくて階段しか手段がないときには困るものです。抱っこしながらベビーカーを抱えることはできないからです。

そこでチアが手を貸したのだと思いますが、素晴らしいことだと思いました。

「チーム早稲田」にはいろいろな人がいます。学生さん、早稲田に入ろうと思っている高校生、卒業生、そのお子さん、早稲田のご近所のお年寄り…

中には助けが必要な人もいます。病気やケガ、ハンディキャップのある中で神宮に駆けつけてくれる人もいます。

そうした方々にも応援席で応援してもらうのは「チーム早稲田」を進めるうえで大事なことだと思います。

そうした意味でとてもいいシーンでした。今後きっとこの経験が生きるときが来ると思います。



さて、試合が始まりました。

1回表の攻撃。

昨日「早稲田の応援部は今年も立ち上がりが早い」という話をしましたが、今日も早くて、リーダー執行委員が指揮台に上がると一言だけ言っていきなり「紺碧の空」になりました。

拍子抜けするくらい早かったのですが、これはこれでよかったと思います。

というのも、昨日から聞きごたえのあるリーダー執行委員の学生注目が続いていた中で、「え、もう終わり?」という学生注目があったことでバリエーションが増えました。

学生注目はいろいろな形があっていいと思いますし、変化をつけてお客さんをびっくりさせることも必要です。

得点には至りませんでしたが、いい入り方だったと思います。



2回表の攻撃。

ブルースカイコールのときに楽団がくるっと振り返った瞬間が印象に残りました。

私は部員のサインを見ながら応援し、そろそろくるなと思ったタイミングで後ろを向くのですが、楽団が後ろを一斉に振り返った瞬間、応援席の中で固まって応援していた1年生たちの顔がパッと輝いたのです。

もちろん1年生はこのタイミングで楽団が後ろを向くことは知らないと思います。なので、びっくりしたのもあるかもしれませんが、それより、先輩たちの顔が一気にこちらを向き、そして音がこっちに向かってくる様子に感じ入ったのではないかと思います。

早稲田の応援部の楽団の魅力は、お客さんを引き込む力があるところです。今日神宮に来た1年生は間違いなく楽団の魅力に引き込まれていました。これからきっと、入ってくれる人もたくさんいると思います。そして今度は楽団の一員としてお客さんを引き込む…という素晴らしいサイクルです。これから楽しみですね。



そのブルースカイコールの後のことでした。

私の右目の右隅に、後ろの座席の間を歩いて歓声を促していたチアが、がくっとヒザをついたような様子がちらっと映りました。

私はびっくりして「具合が悪くなったのかな」と思いながら心配して後ろを振り返ると…

チアはヒザをついたのではなく、席にいた2歳くらいの小さな女の子に腰をかがめて寄り添おうとしていたのでした。

見ると、先ほどのベビーカーの後についてきていた女の子でした。大音響の中、大人がみんなチャンスパターンで立ち上がっていて、怖くなってしまったのかもしれません。

でもチアはその子に、低い姿勢になってやさしく何かを語りかけていました。


私は非常に感銘を受けました。

小さな子が怖がっているときに、目線を同じ高さに合わせて寄り添ってあげることは非常に大事なことです。私たちも小さいころ、そうしてもらうと安心したはずです。

私は去年「応援部のチアは気遣いに優れている」という話を何度か書きましたが、今年も素晴らしいシーンを目にすることができました。やっぱり応援部には優れたメンバーが揃っていると思いました。


4回裏です。

楽団部員がほぼ全員、座席からいなくなりました。(パーカッションとごく一部の部員を除いて)

見ると、応援席の隅々に散ってお客さんに歓声を促していました。去年復活したこの取り組み、今年も行ってもらえてうれしかったです。

しかもバクセンのあたり(最上段)まで行っている部員もいたのですが、戻って来るのも早かった。2アウトのときにはみんな揃っていました。この集散の早さ。きっとこのあとの試合でも守備中応援の助けになると思います。ぜひ続けてほしいですね。



5回裏。

バンド演奏です。昨日を踏まえて、修正がいくつか(本当はもっとあるのだと思いますが)施されていて演技も演奏もブラッシュアップしていました。

昨日より3秒演奏が短くなったのですが、今はこれくらいがちょうどいいのかもしれません。今後また変わるのかもしれませんが、今後のさらなる向上が期待されるバンド演奏でした。


そして今日、ついにバンド演奏にカラーガードが加わりました!

試合前に旗を見ていたので期待していたのですが、実際に指揮台の上での演技を見ると「おおー」というお客さんもいて、いい感じでした。

早慶戦の広い指揮台と違い、リーグ戦の指揮台は狭さ抜群・演技大変なのですが、この狭い中でチャレンジするところに意義があると思うので、次回以降も非常に楽しみです。風との戦いにも負けずに頑張っている様子には勇気づけられます。もしかしたら令和の新たな定番になるのかもしれません。



6回表。

ここで神宮定番のアオダモ資源育成の会のCMが電光掲示板に流れるのですが、珍しいことに学生注目が始まってしまいました。

「あれ?どうするのだろう?ついにアオダモと学生注目が併存するの?」と思いながら見ていると、学生注目の途中で気づいたらしく、なんと「ここでアオダモいきましょう!」と学注を中断するという手に出ました。

そして「バットフォーエバー」が終わった後、リーダー執行委員は「アオダモも立教も絶滅させる!」とアオダモをうまく取り込んで学生注目を再開させ、笑いが起きました。

「アオダモが絶滅しちゃ困るだろ!」という突っ込みが入りそうでしたが、すばやくリーダー執行委員は「アオダモじゃなくて、立教を絶滅させる!」と言い直してさらに笑いを誘っていました。

おそらく、アオダモのCMの存在を忘れて学生注目に入ってしまったと思われますが、それを逆手にとって、アオダモのCMをじっくり見せたばかりか、なんと自分のネタにもしてしまうという素晴らしい展開でした。

人間誰でも忘れるということはありますが、それを逆にネタにして盛り上げてしまうというのはとても素晴らしい才能です。

大人になると、失敗したりうまくいかなかったりした後にどう切り返すかが極めて大事なのですが、早稲田はそれができるので世の中に評価されていると私は思っています。

それを地で行く学生注目だったため、私はとても素晴らしいと思いました。お客さんもこれで一気に引き付けられていました。いい学生注目でした。



さて、その後の試合展開は省きます。


焦点はもはや明日月曜日の3回戦です。



先ほど申し上げた通り「うまくいかなかった後にどうするかが極めて大事」です。


先例を申し上げます。

平成17年春のリーグ戦で、早稲田は開幕に立教と対戦。1回戦は勝ったものの、2回戦は今日と同じように2点差で敗れました。

しかし早稲田は3回戦で立教になんとか勝つと、その後も東大以外に1敗ずつするという苦しい戦いをしながらも、最後は「勝った方が優勝の早慶戦」に持ち込み、そこで勝って勝ち点5の優勝を果たしました。


明日はその再現の第一歩です。

今夜はとりあえず早く寝て(昨日も同じことを言いましたが)気持ちを切り替えて明日に臨んでいただければと思います。


明日、勝てますように。私も祈っています。

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