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早稲田、神宮で好発進

東京六大学野球が開幕しました。

早稲田は開幕戦が非常に大事だと私は思っています。というのも、少なくともここ10年以上、開幕戦が黒星だと優勝したケースがないためです。

なので今日は開幕戦…というよりもこの春の早稲田のかなり大きな部分をかけた戦いだと思い、神宮に向かいました。

第2試合の立教対早稲田。試合開始前のエール交換が終わると、場内当番のリーダーが2秒くらいでもう声を挙げました。

立ち上がりが早くてよかったです。

というのも開幕は、特に春の開幕は去年秋からのブランクが長いし、学年も変わるのでみんな特に慎重になりがちです。

しかし、今日の場内当番はすぐさま声を出し、応援席に拍手を促していました。去年の早稲田の応援部も立ち上がりが早かったのですが、その伝統が受け継がれていてほっとしました。

そしてGWコールの時。「言葉には言霊(ことだま)があって…」という話が出ました。本当にその通りです。応援席ではひとつの掛け声、ひとつの言葉が何かをいい方向に変えることがあります。(今日も実は最後にそうなるのですが)

いい感じで早稲田の応援席は始まりました。


さて、今年の早稲田の応援部は「チーム早稲田」を年間目標に掲げました。三位一体となってスリーパートで意思を統一する。「我々の真価は、3パートが集うところこそにある」という説明もありました。

これは私個人としてもうれしい目標で、私はTwitterでもnoteでも「3パートフラット」とか「3パート一体で」というようなことをずっとずっと言い続けてきたので非常にこれから楽しみです。


1回表にはさっそくその片鱗が見られました。

「選手名チャチャチャ」でリーダーをチアが指さすのですが、このときチアがしっかりリーダーを見て大きくうなずいていました。

これは話をよく聞いているということもあるのですが、それ以上にパート同士がつながっていることがお客さんから見てもよくわかり、とてもいい感じに見えていました。

また、1回表の最初のナイスプレーコールのときも場内当番が笛を出すのにわずかに時間がかかったりしたのですが、すかさず楽団の何人かも察知したようで、うまくまとめることができていました。

わずか3秒くらいのことなのですが、察知できると、変な雰囲気にならずに済みます。変な雰囲気はあっという間にお客さんに伝わってしまうので、それを防ぐためにも3パートの連携やそれを支える目配り、アクションが大事になってくると思います。開幕戦の初回からいい場面を見せてもらいました。


1回裏の早稲田の攻撃です。

いきなり長い大進撃になりました。

以前もnoteで触れましたが、大進撃は小道具を使わないためチアの演技の力量がいっそう試されると私は思っています。今日は足の運び方にも注目したのですが、冬から春の鍛錬もあって、安定した演技を見ることができました。よく準備してきていると思いました。


2回裏です。

リーダー執行委員が模擬裁判に行った話が出て「刑法の存在意義はわかんないけど応援の存在意義はわかる」というオチで場内の雰囲気がほぐれました。開幕戦はお客さんも緊張しているし、初めての人も多いので、雰囲気が早くほぐれてほしいとおもっていたところ、タイムリーな学生注目が出てよかったです。


3回裏です。

早稲田はノーアウト2塁で9番伊藤樹がバントを2回ファウルしてしまいます。「これは厳しい」と私は思いましたが、伊藤は軽打・右方向へのバッティングに切り替えました。するとこの打球が一二塁間を転々。この間に2塁走者が還り、早稲田が先制しました。

「多少失敗しても、何とかして活路を見出して進む」というのが早稲田なのです、と以前から申し上げていますが、その通りのことを伊藤がやってくれてうれしかったです。

そしてこのプレー、打球の行方がわかりにくかったのですが、早稲田の応援部はいち早く反応し、今年の初得点を紺碧ですばやく祝福することができました。今年の応援部も反応が早くできる、という点で優れていると思いました。


4回表。

立教の丸山の大飛球がセンターに飛びました。ヒヤッとしましたが、このとき北東の風が強く吹いていたのが幸いし、フライアウトになりました。

実は今日はこのほかにも1~2本危ないと思う大飛球があったのですが、風がいずれも北東からの逆風で助かりました。

逆に8回裏は風が止んだ瞬間に山縣のセンターオーバーのスリーベースが出たので早稲田は今日はツキもありました。ツキを味方にするのも優勝に向けては大事なので、その意味でも今日はよい滑り出しだったと思います。


5回表。

バンド演奏です。この春は「GUTS !」。
この曲が出たのがもう10年前というのがびっくりなのですが、この歌にはVIVAや青春といった早稲田の応援歌の題名にもなった言葉が出てくるので、いい選曲だと思いました。

そしてさらにびっくりしたのが歌詞パネルが出たことです。バンド演奏で応援歌と同じしっかりして高く掲げられる歌詞パネルを出したのはいつ以来でしょうか…よく準備したなあと思って見ていました。応援席用に作った詞に込めた意味をお客さんに伝えるためにもいい試みだったと思います。

これから、演奏も演技も日に日に高まっていくと思います。なので今日実地で得たことを大事にしていただければと思います。

早慶戦前は、実はあと7試合しかありません。そのうちにどこまで精度が高められるか、そしてどこまでチアと楽団の連携が深まるかも楽しみです。


ここで試合中に見た細かいシーンをひとつ。

応援部員がハリセンを口に近づけて他の部員と次の動きなどについて確認していたのが印象に残りました。

自然な動きの中で出たのかもしれませんし、会話を見られないためだったのかもしれません。

しかし実はこの動き、早慶戦で大観衆になって声が通りづらいときに少しでも声を届けるためにハリセンに反射させると届くことがあるので有効な動きです。私も音楽番組で喧噪の中やったことがあります(ハリセンではないですが)。早慶戦にもつながる動きがあっていいなと思いました。


試合に戻ります。

6回表の守備。

2アウトランナー無しでしたが、ここまでで一番の声が出ました。

おそらくですが、複数の部員の中で「ここが危ない」と何か感じるものがあったのだと思います。

残念ながら予想は当たってしまい、ツーベースを打たれるのですが、こういう肌感覚も実は大事で、大きな試合になるほど危ないと感じたときにいち早く声が出るかどうかが雰囲気を決めることがあります。

このあたりの話は今日は時間が無いので省きますが、その点でも今年の応援部は優れていると思ったシーンでした。


試合はこの6回表のツーベースをきっかけに同点になってしまい、早稲田は開幕戦からややもすると苦しい展開になりました。


しかし、早稲田は活路を開きました。

8回裏。

応援部の主将が指揮台に上がり、野球部と食事に行ったところみんな優勝優勝と言っていておばちゃんが引いていた、でもおごってくれた-みたいな話をして応援席が沸きました。

さすが主将です。苦しい場面でも笑顔で、というのは去年の主将の思いを引き継いでいますし、それと同時に優勝にかける熱い野球部と応援部の思いもお客さんに伝えることができました。いろいろな意味で素晴らしい学生注目でした。言葉によって雰囲気を盛り上げていました。


するとこの回、先頭の山縣がスリーベース。応援席のボルテージは一気に上がりました。

ここでチアの表情が一気に明るくなりました。この試合で一番表情がよかったのが8回です。

さらにチャンスが広がり、コンバットになったのですが、このときの楽団が立ち上がった時の動きが素晴らしかった。「ザッ」という音がはっきり聞こえるくらいよくて、そろっていました。

実は5回裏に今季初のコンバットがあったのですが、8回裏の方が格段によくなっていました。

リーダー→野球部が打つ→チア→楽団。見事な連携でした。


もうこれは点が入るなと思ったら、印出の内野ゴロで決勝点が入り勝ち越し。さらにもう1点加えて早稲田が勝ちました。



これを見ながら私は22年前の今日のことを思い出していました。

平成14年4月13日土曜。

早稲田は立教と第2試合で開幕を迎え、現ソフトバンクの和田投手と多田野投手の投げ合いになり、試合は0対0で9回に。

すると早稲田は9回表にバントヒットで出た走者を盗塁や内野ゴロで進め、最後は内野安打で決勝点をもぎとり、開幕戦に1対0で勝利を飾りました。


このシーズン、早稲田は…優勝しています。



つまり、今日はくししも22年前の今日と同じように終盤に何とかして勝ち越す展開になって(しかも今日のほうが1点多い)勝てたわけです。

前半にも書きましたが「早稲田は苦しい状況でも、多少失敗しても何とかして活路を開いて前に進む」というのがミッションです。
(早稲田はこれができるから社会に出ても評価されます)

そのミッションを見事に果たした開幕戦でした。



ちなみに、明治と慶応だけで優勝を分け合っている時期を止めたのは、昭和4年も平成5年も平成27年も早稲田でした。歴史は繰り返すと思っています。



早稲田の「歴史を繰り返す旅」は今日順調にスタートしました。明日、また勝てますように。

そのためにも!

学生の皆様におかれましては可能な限り早く休んでいただければと思います。今日は水分を口にする回数が気温のわりにみんな多めでした。(もちろん飲みたいと思った時は飲んでください)これは疲れと緊張の両方から来ていると思います。やっぱりこれが開幕戦です。

明日はさらに気温が上がります。まだ緊張が続く人もいるかもしれません。どうか今夜はできるだけ早く寝て、明日に備えていただけると嬉しく思います。

明日も勝てますように。応援しています。








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