237、横浜・副流煙裁判の当事者家族が監督・脚本。劇映画『[窓]MADO』が描く化学物質過敏症のリアリティ(by 赤澤竜也氏)
私は2023年(令和5年)12月3日(日)大阪へ向かった。映画【窓MADO】の上映後、舩越典子医師が登壇するとのことで、その後監督麻王と対談をするというので、どうしても聞いておきたかったのである。
その場にジャーナリスト赤澤竜也氏がいた。これまで会ったこともないし、事前に何の話もしていない。赤澤氏は私の横でひたすら舩越医師と監督麻王との会話に真剣に聞き入りメモを取っていた。下記は赤澤竜也氏が記事にまとめたものである。後半の化学物質過敏症に触れているところを下記に引用した。
引用)社会問題としての化学物質過敏症
監督・脚本である麻王氏は化学物質過敏症が引き起こすハレーションを、みずからの家族だけの問題として扱うのではなく、ひとつの社会問題としてとらえて物語として再構成した。社会の持つ様々な問題を照射する映し鏡のようにとらえているからなのだろう。
そもそも化学物質過敏症とはいかなる「病い」なのか。
みずから化学物質過敏症の患者として苦しみ、様々な治療を試みたうえ、薬を飲みながらではあるが、復帰した経験を持つ「典子エンジェルクリニック」の舩越典子院長と麻王氏との対談に同席させてもらい、医師の立場から見た化学物質過敏症について伺った。
舩越氏は、
「化学物質過敏症は、次の6項目の特徴を持つ症状(なんらかの痛み、知覚異常、脱力、不随意運動、意識障害、不安、恐怖、動悸、腸管運動異常、皮疹など)として世界的に定義されています。6項目とは①化学物質に繰り返し曝露されると再現される。②慢性的である。③過去に経験した曝露や一般的には耐えられる曝露よりも低い曝露量によって現れる。④原因物質の除去により改善または治癒する。⑤関連性のない多種類の化学物質に対して生じる。⑥多種類の器官にわたる。です。医学的な病名ではありません。いろいろな症状の集まりをそう呼ぶに過ぎず、もともと持っている疾患を治すことが治療に繋がります」
と言う。では化学物質過敏症を引き起こす疾患とはどのようなものがあるというのだろうか。
「ひとつ目として腰椎ヘルニアや頸椎症といった神経系の疾患です。これらが元にあるがため、柔軟仕上げ剤の匂いが耐えがたいという病状が出て来てしまうことがあるのです。わたしの場合もそうでした。ふたつ目はビタミンDや亜鉛といった栄養素の欠乏症です。これは採血をすればわかりますね。3つ目として慢性上咽頭炎が挙げられます。これは耳鼻科に行って治してもらわなくてはなりません」
そして一番やっかいなのは精神疾患から来る場合だという。
「まずいわゆる発達障害のなかでの感覚過敏をお持ちの方の可能性もあります。音や味覚など人によって過敏な対象が違っており、一般人より嗅覚が鋭すぎる方もいるのです。また、統合失調症の方もおられます。幻聴幻覚などないものを感じるのが特徴で、匂いもまた同様なんですね。わたしは精神科専門医ではないので、精神科受診をお勧めするのですが、なかには受診を拒む方もおられます。また、いままで言った疾患が複合している場合もあるので、見極めが難しいんです」
映画のなかでは患者の診察をせぬまま裁判のための診断書を出す医師が出て来て、化学物質過敏症をめぐる社会の闇の存在も示唆する。
社会的孤立、閉鎖的な住環境、心の病、無責任な医療などなど、現代社会の抱える様々な問題の複合体として化学物質過敏症をとらえ直すと、その裾野は思ったよりはるかに拡がるということを、この映画が教えてくれているように感じた。
----------------
劇映画『[窓]MADO』公式サイト
このような冤罪は誰に身にも起こります。信頼すべき医師が診断書を悪用し捏造を生み出し、弁護士が提訴する。今後この様な事の起こさぬよう私達は闘います。本人訴訟ではなく弁護士と共に闘っていくため、カンパをお願いします(note経由で専用口座に振込み)。ご理解の程よろしくお願い致します。