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「かわいい」の原点は、どのように誕生したのか?

1970年代後半から90年代にかけて、女子中高生を中心に爆発的な人気を博した「OSAMU GOODS(オサムグッズ)の生みの親、原田治氏の展覧会に行ってきました。展示タイトルは「かわいい」の発見


最の高。
確かに、50−60年代のアメリカのコミックやTVアニメ、ポップアートの影響を受けたイラストレーション。とりわけ簡潔な描線で爽やかな色彩で描かれたキャラクターたちは、その後”かわいい”文化に影響を与えました。
(ファンシーなイラストや、ハローキティなどに原田治のDNAは継がれてゆくわけですね)

OSAMU GOODSやミスドの景品、プリッツのパッケージを通じて、暮らしに溶け込んでいた原田治氏の作品たち。どのような意識でブランドを構築していったのか? そのあたりの”解答”が、とてもロジカルで魅力的でした。

ブーム、ひいては時代を作る上で勉強になったのでシェアさせてください。

デビューは創刊当時の「an・an」で。

多摩美術大学卒業後、アメリカ〜ヨーロッパの旅から1年ぶりに帰国した原田氏に転機が起きるのは1970年。ニューヨーク滞在中に描いたイラストが雑誌「an・an」のアートディレクター堀内氏の目に留まり、イラストレーターとしてデビューすることに。

原田治先生のアメリカン・ポップは既に顕在。「意地悪シール集」には既にポップでアイキャッチなキャラクターが確認できます。

※当時の雑誌や付録は文化資料としてとても勉強になりました。雑誌の価格は200円であることだったり、エッジを立たせるためか女性が着物だったり。

原田治氏は、時代をリードする画期的な女性誌を舞台に活躍、やがで出版や広告など各方面から仕事が舞い込むことになります。

PRETZのパッケージラフから見える、
シンプルな描線だからこその”意識”。

デザイン会社さんの通りに書くとイメージが変わる。
だからこうしたよ。&その場合のパッケージデザインはこんな感じだよね。なところまで仕上げている原田氏…!
その結果の作品がこちら。

ブラボー。
&この時代は「パンケーキ」ではなくて「ホットケーキ」の時代
フレーバーで「ホットケーキ」が存在するあたりにも時代を感じます。


OSAMU GOODSの共通点。

明るく、屈託が無く、健康的な表情であること。
そこに5%ほどの淋しさと切なさを隠し味のように加味する。

確かにモチーフでは、キッズが多いOSAMU GOODS。
確かに子供たちは屈託がなくてとっても健康的な表情です。同時に哀楽が激しくていつも敏感に表情を変えていきます。その変化が「愛らしく」てぎゅっとしたくなるんですよね。(劇的蛇足ですが、我が息子はOSAMU GOODSの男の子に似ているんです…!)


「かわいい」には時代性や趣味性を凌駕する
「普遍性」が存在する。

原田治氏がプロダクト(作品)の世界観を守るにあたって、どのように抽象と具体の行き来で整理していったのかがよく理解できます。
赤と白の斜めストライプを見ただけでも、OSAMU GOODSを想起できる私。これって、本当にブランディングとして成功していると改めて思いました。


***
9月まで展覧会は開催されているので、ぜひ足を運んでみてください。





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