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「きのう何食べた?」オープニングで、シロさんが生姜焼きを作る理由

令和一発目の料理ドラマ「きのう何食べた?」
新時代を飾るにふさわしい完成度の高い作品だなと、回を重ねるごとに強く感じます。
注目してしまうのは、やはり主人公のシロさんが料理をするシーン。
視聴者を引き込むさまざまな仕掛けやチャレンジがされていて、書かずにはいられず…!ばばばーっとですが書かせていただきます。

「きのう、何食べた?」とは?
原作は、よしながふみさんの同名漫画。
几帳面で倹約家の弁護士・筧史朗(シロさん)と、人当たりの良い美容師・矢吹賢二(ケンジ)の男性カップルが2LDKのアパートで暮らす日常を描いています。毎回、2人で食卓を囲むシーンがあり、一足先に帰宅したシロさんが台所に立ち、夕食の準備をしながらケンジの帰宅を待つ。

シロさんとケンジの日常を描くためには、生姜焼きが最良のメニューである。

 今回注目したいのは、この作品のオープニングで作っているのが「生姜焼き」な件。
誰も気にしていないしょうもない話ですが、チコちゃんに叱られるバリに考えてみたいと思います。ドラマの世界観を伝える重要な”始まり”のパートで、なぜ生姜焼きを作っているのでしょう?

ドラマ制作側がプロローグとしての尺で視聴者に伝えたいことは、
【①シロさんとケンジの関係性】と【②シロさんとケンジの日常】ではないでしょうか。

①の関係性の表現は、
オープニングでは、2人の関係性を強面な顔立ちでキッチンに立つシロさんと明るく人懐っこい性格のケンジを「料理が楽しみすぎて動画まで録っちゃうケンジ」として描いています。

そのため、料理選定にあたって必要なことは[ケンジが乱舞するぐらい好きなメニュー][日常感がある料理]を選好する必要があります。

サッポロ一番みそラーメンにバターも入れちゃうケンジ、ハーゲンダッツのご褒美アイスが好きなケンジ…。そんなケンジが喜ぶメニューとして、生姜焼きが選定されたということになります。


生姜焼きは、”平成以降のモテ飯”説。

個人的に生姜焼きは「平成以降のモテ飯」だと思っています。
昔は「母親の味、肉じゃがを作ってほしい」と言う男性もいましたが、近年で聞いた経験は稀有。じゃがいもを砂糖と醤油、みりんで煮たホクホクな肉じゃがよりも、しょうがが効いた豚肉と千切りキャベツにマヨネーズをからめて思い切り食べたい!白米食べたい!という思いの男性のほうが多いのではないでしょうか。
少なくとも、ケンジは肉じゃがよりも生姜焼きに心がなびくタイプでしょう。

「こってりガツン系メニューが好きなケンジなら、唐揚げとかハンバーグとかにればいいじゃん!」と思う方もいるかもしれませんが、唐揚げにすると日常感が伝わりにくくなってしまいます。
豚コマで割安につくれる生姜焼き。牛丼のように外食チェーンも生姜焼きは特別ないため「自宅で食べるもの」という印象がまだ比較的強いではないでしょうか(サラリーマンのランチではよく見ますが)。

外食で登場しないメニューは、おうちごはん感が相対的に強くなります。同時に揚げ物でも牛肉でもない「生姜焼き」は平日に登場することも多いため、描きたい「いつもの2人」を描くことができるのかもしれません。
また、定食(白米+味噌汁)とのセットで、家庭感を引き出しているかもしれませんね。

深読みしたくなるほど、秀逸に作られた「きの食べ」。

面白くて課金して何度も見てしまう本作品。
SNSで話題になっているドラマ登場レシピ再現も、視聴者が気軽にトライできるうような工夫を各所にしていたり、シロさんの料理への意識・態度を伝えるための細かい細工がされていて、ぐぬぬ〜と喜ぶ私です。
これからも放送を楽しみにしながら、まとめていきたいなと思います。


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