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日本の食肉として定着前夜? ラム肉の時代がやってきた

これまで敬遠されていた食べ物が、急に脚光を浴びることは少なくありません。チョコミントやパクチー、ちょっと昔で言えばホルモンだってその類いですし、今日ご紹介するラム肉もそのひとつ。
ラム肉は2005年に一度ブームを巻き起こしていますが、この時は家庭の中には定着することはできませんでした。物珍しく食べてみたものの「独特の臭いでちょっと…」と食卓に浸透しないまま一過性のブームで収束してしまったのです。
しかし今回のブームはちょっと様子が違います。スーパーにまで羊肉が配荷されるようになって、実際の羊肉のレシピも増えてきています。
ラム肉の家庭食での定着も期待できそうです。

”第四の肉”と言われるラムブームを探る。

羊肉といえばこれまでは北海道のご当地フードのジンギスカンぐらいしか代表メニューがありませんでした。
が、最近はラムチョップ専門店や、スパイスカレーの流行で圧倒的に認知されたマトンカレーなど、羊肉との接点は着実に拡大しています。グルメ専門誌の「dancyu」でも2018年の6月号はドドーン!と羊肉特集が組まれるほどでした。 「dancyu」は特集に限らず、様々な特集の中でも羊肉が登場します。どんなメニューも肉を羊肉に変えることで、今っぽさが出るのかもしれません。

羊肉のブームは外食に限らず、おうちご飯でも。
東急ストアやマルエツでもラム肉の薄切り肉や骨付きチョップに出合えますし、スーパーの冷凍肉コーナーには高い確率で「ジンギスカン用肉」を購入することができます。比較的お値段も手頃なこともあって、クックパッドでも、ラム肉と検索すれば、123品もヒットしていて、検索する回数も増えてきている様子。

そんなこともあって、今はラム肉を鶏肉、豚肉、牛肉に続く”第四の肉”と表現することも増えているんです。

なぜ、ラム肉ブームが起きているのか?

色々な文献をたどっていくと、ブームの背景は3つぐらいにまとめられると思います。

ラム肉ブームの理由とは?
〈理由1〉輸送技術の発達で、おいしいラム肉が食べれられるように。
〈理由2〉健康意識が高まる中で、ヘルシーなお肉のラムに注目が。
〈理由3〉ラム肉を使うと、ハレ感が演出できる。

〈理由1〉品種というより、輸送技術で新鮮なラム肉が届くように。

羊肉は品種によって風味が変わることもなく、和牛のような美味しい羊肉を生産するテクニックもまだ出来上がっていないのだとか。
肉の品質を上げたというより、輸送技術の効率化によって鮮度の良い羊肉を提供できることになったのが要因なんだそうです。

〈理由2〉健康意識が高まる中で、ヘルシーなお肉のラムに注目が。

今、食は健康ブーム一直線。
「美味しそう!食べたい!」という欲求以上に、「健康になりたい、腸内環境を改善したい!」気持ちが、ショッピング行動を変えているようです。もちろんこれまでもずっと健康食ネタは存在していましたが、その意向はどんどん右肩上がりです。

そんな時代性の中で、羊肉は旨み成分のイノシン酸やダイエット効果のあるカルニチン酸などのアミノ酸が含まれる赤身肉。必然的に、ラム肉に好意的になる人が増えていったのでしょう。
ラム肉のさっぱりとした脂がとても今らしくて、心地よいのかもしれません。

〈理由3〉ラム肉を使うと、ハレ感が演出できる。

とある家族とのBBQに参加した時「次はこれ燒くよー!」と登場したラムチョップに、多くの大人が「わぁい!」と興奮するシーンがありました。
分厚い牛肉もあったのに、私たちの心はラム肉のほうにドキドキしたのです。
見慣れた牛肉よりも、お店でしか食べたことがないラムチョップにときめく。私達の目の前になかなか登場したい食材は、それだけでハレ感を演出する存在にかわるのかもしれません。

スーパーでも買えるようになった今、お祝い事の時に牛肉ではなくラム肉を選択する、という食文化が定着したら、それはとっても凄いトピックだなと思います。

肉の骨は、”邪魔なのか魅力”なのか?

ラムチョップをはじめ、シンガポールのローカルフードの肉骨茶が人気だったり、骨付き肉が話題になることも増えました。
食べる時は面倒だったりするものの、見た目インパクトは絶大!

以前どこかで書きましたが、今SNSで拡散されるものは、アイコンとしてわかりやすい食べ物が多いように思います。骨がついて楕円形のラムチョップは、誰がどんな料理をしても一瞬で「ラムチョップ」として認識されるので、SNSの他の情報に埋没することはなくブームとして可視化されやすいところがあります。

肉骨茶のスペアリブも、そのヴィジュアルは、豚肉の切り身では演出できないインパクトと、アイコン性が付与されたと考えることもできるでしょう。

糖質制限トレンド、魚料理への抵抗もあって、どんどん肉食化する日本人。食肉市場も着実に進化しているようですね。


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