見出し画像

アンパンマンの功罪と「食べ物あ」構想

 Huluで何気なく観ていた「それいけ!アンパンマン」で、心がザワっとしたキャラクターに出会いました。その名は「チャーハンおうじ」

 頭にチャーハンをのせ、髪は辮髪。中華服をみにまとって前歯が2本ニョキっとしている彼。性格も良くかわらしいキャラクターですがあまりにも時代遅れな”中国人のステレオタイプ”にまみれていて、私はあまりいい気持ちがしませんでした。

 少しかじったぐらいの知識ながら、辮髪の始まりは中国東北部(満州)。東アジアの北方民族から中国全土に派生したものの、チャーハンの起源は唐・宋時代の米食文化起点なはずだから、チャーハンの長を名乗るチャーハンおうじが、異文化の辮髪をしているのは、おかしい話ではあります。

 アンパンマンのキャラクターは世界一多くて1500種類以上。ギネス認定もされています。そんな大量のキャラクターをまとめて「アンパンマン図鑑(フレーベル館)」を眺めていると、和食メニューのキャラクターに引けを取らない数の中華料理のキャラクターが比較的多いことに気づきます。その背景は、若干やなせ氏のおいたちにも影響しているのかもしれません。

やなせたかしの時代で止まったアンパンマンが、現代の子供の”食の原点”である意味。

 作者のやなせたかし氏は、お父さんが上海の大学を卒業してから上海郵政に就職していることもあって、やなせ氏自身も幼少期は中国で暮らしています。
また日中戦争中は陸軍として中国に出征しています。中国とともにあったやなせ氏。きっと中国との関係性/印象が強かったのかもしれません。

アンパンマンが誕生したのが1973年(昭和48年)。
冷静にキャラクターたちを眺めてみると、特定のキャラクターは、確かに昭和的視点の食べ物描写だなと思うものがあって洋装で着飾っている「カツドンマン」や、今の暮らしの中ではあまり出会わなくなった「釜飯」のキャラクター「かまめしどん」は、もんぺを着て草履をはき、割と強い東北弁をしゃべります

 経験値による推計になります、ほぼ9割の子供たちがアンパンマンに心酔します。アンパンマンがいてくれるなら、どんな面倒なお風呂も食事も快諾してくれる時期があります。もちろん、愛する対象のキャラは主役のアンパンマンではありますが、平成生まれの子供たちの9割が見るアンパンマンの食表現が、現代から見るとミスマッチというか、あまりにも偏向的なのはどうなのだろうか?ともやもやしてしまいました。

 やなせさんだって、アンパンマンがこんなにも「教科書」的に扱われるとは思わずに楽しく悪意なんてなく描かれたと思いますが、子供への影響力、接点のインパクトということで考えると、昭和48年の中国への印象を、無垢な子供たちに届けていいものか、少しモヤモヤします。



”情報としての食育”が必要なのかもしれない。

ここでやっとこそ本題に戻りますが、アンパンマンの功罪をつたえたい以上に、正しい食の情報を伝える機会が必要なのではないかと言うこと。

 味蕾を育む「食育」も大切ですし、栄養学、農学的な「食育」も重要ですが、日常のメニューのはじまりや種類について、情報に触れる機会がないなーっと思っています。

 今食卓に並んでいるものがいつから食べられるようになったのか、チャーハンの起源や、具材の変遷、チャーハンの社会的ポジションの移行なども、面白く、エンタメ的に伝えるべきなのではないかな。そこから、食への興味関心が育まれるかもなぁ。と思っています。

だから、「食べ物あ」。

みなさんは「デザインあ」をご存知でしょうか?
「デザインの面白さを学ぶ最初の入口」として、2011年にNHKの教育テレビ(Eテレ)で放送を開始して以来、身の回りにあるものをデザインの始点から見つめ直しながら「デザインの面白さ」を伝え、子供たちの「デザイン的な視点と感性」を育むことを目的にしている、大人でも最高に楽しめる素晴らしい番組です。

「デザインの面白さを学ぶ最初の入口」が「デザインあ」なら、
「食べ物の面白さを学ぶ最初の入り口」が「食べ物あ」である。

と整理して伝えることができたら、私のモヤモヤは解消できるのではないかと思いました。食べることだけが食事ではない時代、調理者という視点の教育よりもっとフロントにあるべき「食べ物」とは「メニュー」とはなにか?を探る旅ができると面白いかもしれません。

それを直感的に伝えられる体験で、コンテンツで、表現したいものです。

何も構想なんてないけれど、
「食べ物あ」プロジェクトを始動したいなぁと思います。

今年度中に何らか、形になればいいなー。(他人事かw)





この度はありがとうございます!わたしのメディア「Yellowpage」のニュースレターに登録いただけましたら、とっても嬉しいです。https://yellowpage.tokyo/#newsletter