見出し画像

パルテノン神殿の視覚補正

古古代ギリシアのポリスはアクロポリスと呼ばれる丘の頂に作られた城塞を中心に、アゴラ(市場・公共広場)、神殿、体育館を備えていた。

ポリスの住人は、儀式の時以外は神殿には近づかず、ポリスの秩序を保つ建物として眺めていた。

中でも、ポリス・アテナイのパルテノン神殿は美しく見せるためにいくつかの視覚補正をしている。

パルテノン神殿の基盤は長さ69.5m(228.0フィート)、幅30.9m(101.4フィート)。内部には屋根を支える2列の柱があり、外周には直径1.9m(6.2フィート)、高さ10.4m(34.1フィート)のドーリス式円柱があり、柱の合計は外周に46本、内部に19本。

柱の下部が接する基礎部分であるスタイロベートは東西の端で60mm(2.36インチ)、南北で110mm(4.33インチ)上向きに湾曲して(中央が盛り上がっている)おり、東西の正面両端の柱は内側に70mm傾いている。これで離れて見た時に、真っ直ぐに見えるように錯覚が起きる。

正面の柱は当時の感覚だと30.9mに対しては6本が通常だが、そこを8本にして一番外側の柱とその次の内にある柱の間隔だけが2.25mで、その他の間隔は2.5mになっている。南北側の17本の最両外側も、それにならっている。これで荘厳さや強さがでてくる。

柱はエンタシス(entasis)と言われる円柱下部もしくは中間部から上部にかけて徐々に細くした形状になっていて、柱を下から見上げると、真っ直ぐな円柱よりも安定して見える錯覚効果を取り入れている。日本では「胴張り」または「徳利柱」と呼ぶこともある。こちらは近くから見上げた時の視覚補正。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?