弁護団活動費用をクラウドファンディングで集める意義について

本日、「Readyfor」で、「医学部入試における女性差別対策弁護団」の弁護団活動費用のクラウドファンディングが公開されました。
https://readyfor.jp/projects/lawyers

私自身が弁護士ということもあり、かねてより、弁護団活動費用のクラウドファンディングは、もっと活用されるべき取組みであると考えておりましたので、「Readyfor」として今回のプロジェクトをサポートさせて頂けたことは、とても嬉しく、また、誇らしく思っております。

今回のnoteでは、そのあたりの思いを書きたいと思います。
※勢いあまって(?)固い文章になってしまったので、書き直すかもしれません(笑)

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1.弁護団活動の意義

多くの弁護団は、法の理念の実現という公益を達成するために、「『泣き寝入り』を許してはいけない」「声を上げなければいけない」というミッションベースで、弁護士が結集して組成されている。
今回の「医学部入試における女性差別対策弁護団」は、まさにこのタイプの弁護団だ。

「政策形成訴訟」といわれることもあるが、このような弁護団は、個別の被害者の権利を救済するとともに、それを超えて、同様の被害者を生まないように、立法・行政をも動かすことをも目指す。
中国残留孤児、ハンセン病患者、公害被害者、アスベスト患者の救済など、歴史的にも、さまざまな社会問題に取り組む弁護団が組成され、そして、集団訴訟などを通じて、法令を変え、あるいは国との和解を引き出すなど、大きな成果を上げてきた。

弁護団の取り組む事件は、えてして難易度が高い場合が多い。
同じミッションのために結集した弁護士の叡智を結集し、強みを持ち寄り、徹底的に議論して法律構成を考え、必要な事実関係の調査を行い、被害者の権利実現のために取り組まれているのだろう。
多大な時間とエネルギーを要する事件ばかりであることは間違いない。
私自身、一人の弁護士として、法の理念の実現に注力される弁護団の先生方の取組みには、ただただ頭が下がる思いである。

2.弁護団活動の費用負担の現状

このように社会的に意義のある弁護団活動であるが、経済的にいえば、弁護士にとってペイすることは皆無といってよいだろう。

そもそも多大な時間と労力を要するうえ、費用面でも、被害者の権利救済のために最善を尽くすためには、訴訟費用はもちろんのこと、法令・事実関係を調査したり、学者の意見書を取得したりすることも必要になり、そのためのコストがかかる。

依頼者(被害者)から着手金や実費をもらえないことも少なくないだろうし、最終的に被害者の権利を救済できたとしても、そのために注いだ多大な労力に見合う報酬が得られるとも限らない。

弁護団活動は公益活動なのだから「手弁当」で行うことが美徳だというロジカルとはいいがたい理由で、弁護団に所属する弁護士の費用負担の下で弁護団活動が維持されているのが実態だ。

3.クラウドファンディングによる解決可能性

結局、これまで弁護団活動は、「『手弁当』でも構わないから、絶対に被害者を救済し、社会を変えなければならない。」という弁護士の思いに支えられてきた。

しかし、そのような善意・好意に依拠した取組みに、持続可能性はあるだろうか。
大きな社会課題を前にして、「『泣き寝入り』を許してはいけない」、「声を上げなければならない」という弁護団のミッション・思いに共感する人は少なくないはずだと考えている。
そうであれば、社会全体で活動を支えるといえば大げさかもしれないが、弁護団の思いに共感できる人が広く弁護団活動を支援することによって、よりサステナブルな活動にしていけると考えている。
クラウドファンディングは、まさにこのような支援を実現するための仕組みだ。

また、弁護団の活動に対しては、(個人的には、誤解に基づくものや当を得ないものも含まれると思っているが)その活動方針等に関して批判がされることも少なくない。
その批判の声が大きいと、ともすると、弁護団の活動が社会的な支持を得ていないかのようにも見えかねないが、クラウドファンディングには、支援者の共感・応援の声を可視化する機能も備わっている。
そのため、クラウドファンディングを行うことによって、弁護団の取組みの意義をより明確な形で社会に向けて訴求しやすくなるとも考えられる。

4.弁護士法・弁護士倫理法上の問題点

このように弁護士活動費用のクラウドファンディングには大きな意義があるが、一部には、弁護士費用をクラウドファンディングで集めることに関し、弁護士法や弁護士倫理法上の問題(特に非弁提携規制との抵触の可能性)を指摘する意見もある。

たしかに、弁護士の活動・広報、報酬・費用や、支援の取扱いについては、弁護士法や弁護士倫理上の厳重な規制がある。
弁護士にとって、弁護士会から懲戒処分を受ければ、最悪の場合は弁護士と職務を行うことができなくなるリスクもあるので、弁護士法や弁護士職務基本規程等に抵触する可能性がある取組みには安易に手を出すことはできない。

そのため、READYFORは、弁護士法その他の関連法令を遵守することは、弁護士がクラウドファンディングを安心して利用し、そして支援者の方々が安心して支援するために必須であると考えの下で、弁護士活動費用のクラウドファンディングを適法に実施するための慎重な検討を行った。

具体的には、主に、弁護士報酬の分配制限に違反しないように手数料の設計に留意するとともに、プロジェクトページの内容が「弁護士等の業務広告に関する規程」を遵守したものとなるよう、外部の弁護士(弁護士法・弁護士倫理に詳しい第二東京弁護士会所属の深澤諭史弁護士)のアドバイスも得ながら、今回のクラウドファンディングをサポートさせて頂いた。

5.「医学部入試における女性差別対策弁護団」の取組みについて

今回「Readyfor」でクラウドファンディングを公開された「医学部入試における女性差別対策弁護団」は、医学部入試において行われてきた性差別的な得点調整をされた女性たちの権利回復のために力を尽くしたいと考え、全国から集まった弁護士により結成された弁護団であり、現在は、当事者の声を聴きながら、東京医科大学に対する第一次集団請求を行うための準備を進められている。

弁護団の先生方は、受験生の権利の回復を目的として活動されていることはもちろんのこと、それをこえて、この社会の基底に強固に存在している女性差別をなくすことも見据えて精力的に活動されている。
先生方は、弁護団活動を息の長いものにし、また、充実したものとしたいとの思いから、今回、弁護団活動費用をクラウドファンディングにより集めることを決められた。

ご依頼者(受験生)にもクラウドファンディングについてご説明されたそうだが、好意的に受け止めて頂いたようだ。

6.まとめ

弁護団活動費用のクラウドファンディングは、社会的に意義ある弁護団の活動をサステナブルなものにするために必要な取組みであり、そのような取組みを、「Readyfor」において、「医学部入試における女性差別対策弁護団」という素晴らしい先生方と一緒にやれたことを大変嬉しく、また、誇らしく感じている。

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以上、長くなってしまいましたが(しかも固い文章になってしまいましたが)、今回のクラウドファンディングの公開に際して私なりの思いを書かせて頂きました!

このnoteを読んでくださった皆さまが、弁護団活動費用のクラウドファンディングに興味・関心をもっていただければ大変うれしいです!

また、「医学部入試における女性差別対策弁護団」のクラウドファンディングを、ぜひともご支援いただけますと幸いです!(私も支援させていただきました!)
https://readyfor.jp/projects/lawyers

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