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『観光』からの脱皮~ sightseeingの価値が観覧から体験にシフトし、伝統が保存される~

 日経電子版の記事【白米千枚田 棚田と海が織りなす景観(石川県輪島市) 映える!】は、改めて、観光(sightseeing)のあり方が単なる『観覧』からより深い『体験』へとシフトしている様を教えてくれます。



 記事に登場する白米千枚田の事例では、オーナー制度という仕組みが導入されることで、会員が田植えや草刈りなどを『体験』出来ると同時に、『保存活動』が支えられている状況がリポートされています。

 観光客が観光に求める価値が、単なる観光地巡りから、より深くその地に根差した生業・風習・行事等に参加する『体験』へとシフトすることで、その地域特有の伝統が『保存』される、『体験』による『保存』という持続可能性のサイクル、エコシステムが作り出されているのです。

▶『体験』による『保存』のエコシステム

(1)『観光客・観光業者・観光地がWin-Win‐Winの関係』・・・観光地の
  広い意味での伝統(産業・風習・行事・里山・自然等)の『体験』を
  通して、観光客・観光業者・観光地の3者が繋がり、Win-Win‐Winの
  関係が築かれることで、伝統が『保存』される。

(2)『観覧から体験へのシフトがもたらす深い感動』・・・観光客は、
  『観る=部外者=観覧者』から『行う=当事者=参加者』へと変貌し、
  より深い体験価値=忘れがたい感動を享受する。

(3)『ツーリズム(観光業)は、体験プロデューサーに』・・・観光業者
  は、地元での体験をプロデュースするスキルが問われる。例えば、
  移動手段一つとっても積極的なMaaSへの取り組みが欠かせない。

(4)『新時代の観光によって結実する地元愛』・・・『体験』が重要な価値
  となる新時代の観光を育むことが、地元を愛する観光地の思いを実ら
  せる一つの手段となり得る。



 体験価値を重視する新時代の『観光』に、もはや『観光』という言葉はそぐわないのかも知れません。『体験重視の観光』こそが、持続可能な『伝統』のエコシステムへと繋がっているのではないでしょうか。



#COMEMO #NIKKEI

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