ショールーム化するリアル店舗~商品売上ゼロの店舗とは~
日経電子版の記事【試作品の家電にトライ 蔦屋家電の新機軸】は、「未発売の製品を触れる小売店」というユニークなビジネスモデルに関するリポートです。
ネット通販との競争にさらされるリアル店舗が、ネットとリアルの融合など様々な施策でリアル店舗の強みを模索する中、この記事で紹介される事例は、相当に尖った取り組みです――
商品を売らずに、場所(スペース)を売る!
――と言うのが、その最大の特徴なのですが、一体どのようなビジネスモデルなのでしょうか――
▶『ショールーム型店舗』のビジネスモデル
(1)取り扱う商品の例
① クラウドファンディング発のプロダクト
② 海外のデザイン家電
③ 国内未発売の海外製品
④ 試作品
⑤ ガジェット系中心
⑥ リアルではここでしか扱ってない商品
⑦ 逆輸入商品
⑧ 斬新なアイデアの光るプロダクト
⑨ 型破りなプロダクト など
(2)店舗の売上
① メーカーの払う場所代(1区画のスペースに対し、1カ月・3カ月
契約で決められた月額料金)。
② 予約・販売製品の売上はすべて出展メーカーの取り分。
(3)来店客のメリット
① 未発売も含めユニークな商品との出会い(触って試せる)。
② 予約・販売中のものは購入もできる。
(4)出展メーカーのメリット
① 逆輸入の可能性を探るテストマーケティング。
② ベータ版でユーザーテスト。
③ アンケートなどでは分からない、接客によって吸い上げた生の声
としての顧客ニーズを製品開発に生かす。
④ 発売前の製品の市場性を判断。
⑤ 店舗から得られるマーケティングデータによって、発売前の製品を
ブラッシュアップ。
⑥ AIカメラによる分析システムによって、来店客の「性別」「年代」
「滞在時間」を判定し、クロス分析も。(サーバー側で個人を特定で
きないデータにリアルタイム変換する。)
⑦ 予約・販売中の製品なら売上も狙える。
リアル店舗は、もはや『商品を売る場』ではなく、斬新なプロダクトの情報を発信し、来店客の反応を収集する『双方向性のあるメディア』へと進化しているのです。
考えてみれば、リアル店舗は、商品の流通過程のどの段階で売上を上げてもいい訳で、『商品を売らずに、場所(スペース)を売る』という発想は、まさに、イノベーションとしか言いようがありません。
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