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『ヒットの方程式』の幻影~『令和』最初の大ヒットに期待~

 NIKKEI STYLEの記事【「人生ゲーム」まだ中盤 おもちゃ開発、いつも緊張  タカラトミーの富山幹太郎会長】で、タカラトミーの富山会長が、ヒットの法則について聞かれて、「出して初めて白黒が付く」と述べられています。『ヒットの方程式』なんて存在しないのでしょうか?


 記事では、「売れる商品には家系図がある」との発想で試したことがあるが、「結局は子どもたちに受け入れられるかは分かりません」とあります。過去のヒット商品の要素とその時の流行りを組み合わせたりとか、DNAを組み合わせて試行錯誤する家系図の発想は、まさに『ヒットの方程式』の一つのアルゴリズムだと言えそうです。有効なアルゴリズムのようにも見えますが、それでも答えは出なかった……

 私も、ヒットを生み出すための一定のノウハウはあるかも知れませんが、『ヒットの方程式』そのものは、永遠に幻影のままだと思います。何故なら、仮に精度の高い『ヒットの方程式』があったとしても、問題は、むしろそこに入力する数値の精度の方にあると思うからです。


 少し違うカテゴリーですが、例えば『株式投資』の場合はどうでしょうか?仮に『株で利益を出す方程式』があるとして、次のようなものを設定してみます――

▶ 『株で利益を出す方程式』
 =『高く売る』ー『安く買って』

 ――『安く買って高く売る』、身も蓋もない方程式のようですが、否定しようがなく、恐らく世の中のたいていの方程式というものはこれと似たり寄ったりだと思います。いざ方程式にしてみると、至極当たり前の『項』が並ぶのです。

 そして、この方程式で難しいのは、実は、計算ではなくて、各『項』に入力する数値の方なのです。ある株が1000円まで下げたら買おうと思っていても、ぎりぎり1005円まで下げた所で反発してしまったら買う事さえできません。また、慌てて気付いて、1010円で買うことが出来たとして、その時の思惑=予想が1500円まで上げたら売りだとして、1500円まで高騰する保証は何もないのです。


 全く同じことが『ヒットの方程式』についても言えると思います――

▶『ヒットの方程式』=A項+B項+C項+・・・・・・

 ――どんなに精度の高い方程式があっても、A項、B項、C項に入力する数値が、予測が甘かったり、シビアすぎたり、欲が出てたりしたら、正確な答えははじき出せません。


 やはり、『ヒットの方程式』は幻影で、ヒットを生み出すには、ベータ版でのユーザーテスト、テストマーケティング、アジャイルな開発、ユーザーコミュニティーとのコ・クリエーション等々、地道な試行錯誤が欠かせないのかも知れません。

 今日から始まった『令和』の時代に、最初に大ヒットするモノは何なのか、デジタル化の逆風が吹く中、個人的には何かアナログなモノがヒットすることに期待したいような気がします。

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