見出し画像

異業種で個人の自由時間を争奪~デジタルトランスフォーメーションの必然~

 日経電子版の記事【ネットフリックスも警戒する超人気ゲーム(NY特急便)】を一読、ネットフリックスのリード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)の次の一言が印象に残りました――

  「我々が戦っているのは(そして負けているのは)大手ケーブル
  テレビ局のHBOではなく、フォートナイトだ」


 これは、考えてみれば当然の事ですが、知らぬ間に業界という名の井の中の蛙になっていると、忘れがちな事です――動画配信業界もゲーム業界も、同じユーザーの自由時間という限られたパイの奪い合いを演じている訳です――。最悪の場合、自分がそのような闘いを演じるべき場にいることさえ気付かないこともあり得ます。

 現在進行形の第4次産業革命の時代に、企業にとって競争すべき相手が誰であるか、という事は、敢えて逆説的な言い方をするなら、あまり意味を持たなくなってきていると思います。自動車業界を吹き荒れるCASE(コネクティビティ 接続性・オートノマス 自動運転・シェアード 共有・エレクトリック 電動化)の変革にITビッグが参入してきたように、敵は、思わぬ方向から現れるからです。


 記事で取り上げられている米エピック・ゲームズのフォートナイトの場合、社会現象とまで言われる、その強みは何でしょうか?記事から拾ってみると――

▶『フォートナイト』の強さの秘密
 ① パソコンやスマートフォンから基本的に無料でゲーム参加できる。
 ② キャラクターのコスチューム購入などの課金収入。
 ③ 友人とボイスチャットで話しながらチーム戦に参加できる交流機能。
 ④ ネットワーク効果(ユーザー増⇒サービス価値向上⇒ユーザー増)の
  あるビジネスモデル(広告出稿の広がる可能性など)。
 ⑤ バトルロイヤル形式(100人のプレーヤーが最後の1人になるまで
  戦う)。

 

 消費の対象がモノからコトへと比重を移していく、商品(モノ・サービス)に今までにない全く新しい価値が求められる、第4次産業革命の時代に、最終的な商品のユーザーの体験=UX(ユーザーエクスペリエンス)を見極め(最大化)、価値創出を達成するイノベーションは極めて重要です。米エピック・ゲームズの事例などから一般化するなら、そのビジネスモデルは、イノベーションの実現に極めて有効であることが分かります――

【ネットワーク効果のあるプラットフォーム】・・・イノベーションの
 入口である『情報』と出口である『サービス』を押さえている。
【内包されたユーザーコミュニティー】・・・今までにない価値の創出の
 ためには、消費データ・生活データなどの過去データから『そこには
 ないコト』=『消費者が不満に思っているコト』=『消費者が潜在的に
 求めているコト』を想像しなくてはならず、消費者との双方向での情報
 交換も必要。
【UX(ユーザーエクスペリエンス)を最大化するためのパーソナライゼ
 ーション】
・・・キャラクターのコスチュームをカスタマイズできる機能
 など。
【ネットとリアルの融合】・・・ユーザーはネット上の架空のキャラクター
 と対戦しているのではなく、ネット上でリアルの友人などと対戦している
 (バトルロイヤル)。


 このようなビジネスモデルは、DX(デジタルトランスフォーメーション)に必要な要素を取り込んでおり、そのことは、逆に言うと、第4次産業革命の時代の全方位的な競争を生き抜くには、自分自身もDXしなくてはならないという事に他なりません。第4次産業革命の時代の全方位的な競争において、DX(デジタルトランスフォーメーション)は、必然のものだと言えそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?