キャッシュレスネイティブ?~利便性の時代の『不便益』~
日経電子版の記事【「不便が楽しい」 博報堂、逆転の発想で販促コンサル】は、利便性の追求される時代に、『不便』である事がかえってユーザーのベネフィットになるような、『不便益』について改めて考えさせてくれます。
昨今は、プロダクトに関する説明に『利便性』が登場しないものはない、と言っていいくらい、『利便性』の観念が私達の生活を支配しています。――速い・簡単・おいしい、ワンタッチ、オールインワン、万能選手、自動化、時短……。文字通り枚挙に暇のない『利便性』ですが、はたして、本当に『利便性』のあることがベネフィットなのでしょうか?『利便性』中毒に陥っているかも知れない頭をひねって、『利便性』のデメリットをリストアップしてみると――
▶『利便性』のデメリット
(1)『便利』過ぎて自分(自分の生活リズム)に合わない。
(2)『便利』過ぎてかえって難しい。
(3)『便利』過ぎて使いこなせない。
(4)『便利』過ぎて怖い。
(5)『便利』過ぎて面白くない。
(6)『便利』過ぎて情報過多になる。
(7)『便利』過ぎて付いていけない(速すぎる、など)。
(8)『便利』過ぎて本質を見失う(本来の仕組み・困難さ・大切さ、
など)。
(9)『便利』過ぎて根気・我慢・忍耐といった精神力が失われる。
(10)『便利』過ぎる生活にどっぷりつかっていると、いざ、インフラに
支障が起きた時など(クラウドがダウン、など)、サバイバルでき
なくなる。
まだまだあるかも知れませんが、『利便性のデメリット』とは『便利過ぎる弊害』、『手間が掛からない事によって失われるもの』である、と言えそうです。
つまり、『手間が掛かる』事には、それによって得られる体験、心地よさ・安心感・楽しさ・学習効果・鍛錬・苦労して得られる喜び、といった体験価値があるのです。それこそが、まさに『不便益のベネフィット』ではないでしょうか。
……そこまで考えた所で、はたと気付いたのは、今この時代の『不便益』を一つ上げるとするなら、その代表格は『現金(キャッシュ)』なのではないか、という事です。――この先、そう遠くない近未来の世界で、生まれながらにキャッシュレスが当たり前のキャッシュレスネイティブ達は、一体どのような金銭感覚を身に付けていくのでしょうか……。
今、私達は、お金にまつわる通貨体験のディスラプション、その入り口に立っているのかも知れません。
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