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来るか金融プラットフォーマーの時代~銀行がプラットフォームになる時~

 日経電子版の記事【消費者の欲求、即応せよ】は、銀行の支店に行こうと思ったら、半休を取らざるを得ないほど交通渋滞が深刻なインドで、時短を切り口に業績を拡大する銀行に関するものですが、一番印象に残ったくだりは、次の部分です――

「銀行にはこれまでデータを活用するDNAがなく、グーグルや米アマゾン・ドット・コムのような企業が先に異次元のレベルに行ってしまったのは事実だ。だが銀行も、彼らの使っている技術と同じ技術を活用できる。時間は多少かかるが追いつくのは可能だ」
「必要な技術や機能は提携で補いつつ、銀行自身はプラットフォームのような存在になるだろう」



 記事では、残念ながらそれ以上の詳しいイメージには触れられていませんが、『銀行のプラットフォーム化』という事については、私も、全く別の角度から考えたことがあります――

 ――『顔認証』のテクノロジーが、十分な精度でセキュアに運用される近未来の社会では、あらゆる『個人データ』がセキュアにデジタル化され、『顔データ』と紐付けされるようになる(データを管理する方法については、ブロックチェーンとGDPRの関係などの問題あり)、との前提です。
 そのような状況で何が起こるか、あくまで私見ですが、第1に、現金・クレジットカード・チケット・身分証などの、個人の属性や権利を媒介するモノがなくなっていく、と考えます。
 そして、それまで独立して存在していたシステム間を隔てる障壁が著しく低くなることで、第2に、システム、すなわち企業をはじめとした社会の様々な仕組みの統合が進むのかも知れない、と予測しました。
 タコ壺型にシステムが乱立していては、非効率ですし、ある程度集約して最適化した方が良い結果を得られるはずだからです。銀行のプラットフォーム化ということには、この時気付きました――

▶プラットフォーム化する銀行(法的な枠組みは別として)

① 基本となるのは、あらゆる決済のプラットフォーム。

② 個人、あるいは法人のあらゆる金融資産を総括し最適化する
 アセットマネジメント(AM)のプラットフォーム。
 ・・・今ある『家計簿アプリ』が、大規模化し、AIによるレコメンド
 機能を備えたようなイメージです。

③ 現行のクレジットカードの機能も含めた、あらゆる与信管理
 含めて最適化するプラットフォーム。
 ・・・例えば、キャッシュ扱いにするか、クレジット扱いにするか、
 どちらが得か、といった判断までもAIが自動で行い提案。

④ 場合によってはプロパティマネジメント(PM)領域もカバーする。

⑤ 納税代行サービスのプラットフォーム。
 ・・・全ての必要データを自動処理して、もはや、個人事業主も、確定申告
 の時期に、混雑する申告書作成会場に出向く必要はない。公正な納税
 社会の実現。



 まだまだあるかも知れませんが、今の銀行とは比べものにならない広範囲にわたって、個人あるいは企業をフォローしてくれる銀行です。このような近未来の『金融プラットフォーマー』を想像していると、いくつか検討しなくてはならない課題も浮かび上がってきます――

▶『金融プラットフォーマー』の時代の課題

① 『金融プラットフォーマー』の巨大化・独占化の弊害を防ぐため、
 『金融プラットフォーマー』は地域会社制のようなものになるかも
 知れません。

② あらゆるシステムが統合され、最適化されていく社会では、国営と
 民営、国家と民間の区分けが希薄となっていくのではないでしょうか?

③ 極論すれば、国際連合の進化した、世界政府、地球政府、人類共同体
 政府のような存在が出現しているかも知れません(SFの世界ではよくある)。


 苦戦する銀行も、DX(デジタルトランスフォーメーション)いかんでは、数多くの生活課題・社会課題を解決・最適化する使命を担った、頼もしい
『金融プラットフォーマー』へと大変身できるのではないでしょうか。
 通信キャリアとコンテンツとの関係では、キャリアは、データを通す管を提供するだけの『土管化』という脅威にさらされています。銀行が、金融データの『土管』とならない為には、今が一番大切な時期ではないか、と思いました。

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