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2タイプのイノベーション~現在課題と未来課題~

 日経電子版の記事【「野心的研究」に1000億円 テーマ、一点豪華主義で】は、国家的なイノベーションへの取り組み『ムーンショット』に関するリポートです。 



 この記事を読んで改めて思ったのは、ごく大雑把に、イノベーションには2タイプあるのではないか――『現在課題のイノベーション』と『未来課題のイノベーション』ということです。

▶2タイプのイノベーション

(1)『現在課題のイノベーション』・・・今ある課題への解となる
                  イノベーション。

(2)『未来課題のイノベーション』・・・特定の未来に課題となるであろう
                  コトへの解となるイノベーション。



 はっきり自覚されているか、まだ誰も気付いていないか、という違いはあっても、今そこにある課題、『現在課題』の場合は、目の前のユーザー、今の社会を深く観察することで見い出される課題です。それに対して、『未来課題のイノベーション』の場合は、何よりも、どのような未来が到来するかという、未来社会の予測が大前提となる事は言うまでもありません。

 最近の日経電子版の記事からそのような事例を探すなら、例えば、【「スマホの充電、年1回」NTT研究陣の野心】などは良い例かも知れません。

 ここでは、ビッグデータ時代の膨大な消費電力を賄う手段として、電子(エレクトロン)から光子(フォトン)へのディスラプション、オール光の半導体や通信システムによる省電力化が説かれています。そして、光テクノロジーの実現によって、年1回の充電で済むスマホのような画期的なイノベーションの登場が予測されるのです。

 (付記:この件に関しては、下記の拙稿でも考察しています。)



 このような『未来課題のイノベーション』を実現するには、いくつかのポイントがありそうです――

▶『未来課題のイノベーション』を実現するには……

(1)『社会予測』・・・未来の社会がどのような社会になるのか、様々な
          要素の相互作用を勘案して予測しなくてはならない。

(2)『課題予測』・・・そのような未来社会の抱えるであろう課題を予測
          しなくてはならない。

(3)『技術予測』・・・そのような未来課題を解決しうるテクノロジーを
          予測しなくてはならない。

(4)『プライオリティーの決定』・・・そのイノベーションの
          ディスラプションの程度を予測し、より効果の
          大きい方へ投資しなくてはならない。

(5)『ガラパゴス化の回避』・・・予測に基づく開発の過程で、常に、
          世界の動向を注視し、ガラパゴス化を回避する
          修正を臆せず実行しなくてはならない。



 『未来課題のイノベーション』は、リスクもリターンも大きく、まさに政府をも巻き込んだ大きなレベルでのディスカッション、コ・クリエーション、予算を含めたサポート体制などが、自発的・革新的なアイデアの創出の足枷とならないような形で機能する、そんな『ムーンショット計画』が求められているのではないでしょうか。



#COMEMO #NIKKEI

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