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少ないデータ・作ったデータ・散ったデータでビッグデータに挑む

 前から素朴に疑問に思っていたものの一つに――

「データがやたら一杯あるからイイってもんだろうか?」

 ――ということがあります。

 そんな疑問を感じつつ読む日経電子版の記事【少ないデータで法則発見のAI ハカルスの藤原健真社長、連続起業の原点は米留学】と【「ポスト京」、人工データ大量生成 GAFAに対抗】は、とても示唆に富んでいると思いました――


(1)スパース性~『少ないデータ』から読み解く~

 ある事象について、全部のデータを集めると膨大なビッグデータになるような場合でも、その中で実際に変化のあるデータ、注目すべきデータが少ししかないなら、全部のデータは必要ない、という考え方です。このようなスパース性は、様々な現象に見られるのではないでしょうか?

 注目すべき『少ないデータ』から、アイデアを読み解くことが出来るスパースモデリングのアルゴリズムは、言葉は悪いですが大艦巨砲主義のビッグデータ依存企業に対抗する術となると考えられるのです。その意味で、スパースモデリングは、データ活用の世界の航空主兵論のようなものです。


(2)人工データ生成~『作ったデータ』から
                  読み解く~

 ビッグデータがないなら、データを作ってしまえば良い、という考え方です。ただし、データ捏造のような非科学的・非現実的なデータの作成ではなく、シュミレーション技術で、実際にありうべきデータを生成するのです。

 実際のデータに実際にありうべきデータを加えて、仮想のビッグデータを形成すれば、ビッグデータ依存企業でなくとも、有意なアイデアを導き出せるようになるはずです。


 ――このような事を考えていた時に、ビッグデータ依存企業に対抗するもう一つの対抗軸を日経電子版の記事【ブロックチェーンがGAFA支配に歯止め
注目IT、2020年先取り予測(上)】に見い出すことが出来ましたそれは、とうの昔に指摘されていたことですが――


(3)ブロックチェーン~『散ったデータ』でデータの
                    民主化~

 非中央集権型(分権型)アーキテクチャーは、記事にあるように、「特定の個人や国、企業に権限を集中させず、ユーザー自身がサービスに関わる意思決定に関与できるようにする」世界です。

 このような『インターネット3.0』の世界には、もはやビッグデータの独占的な支配者は存在しません。


 スパースモデリング・人工データ生成・ブロックチェーンの3つのテクノロジーの進化は、『少ないデータ』・『作ったデータ』・『散ったデータ』によって、ビッグデータ独占の牙城を突き崩し、多くの企業に成長のチャンスが開放されることになる、と考えられます。最も偉大な歴史の教訓、『盛者必衰の理(ことわり)』の再現は案外近いのかも知れません。


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