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時代は『3R+U』へと動く

 日経電子版の記事【関西でも「アップサイクル」の波 黒染めでユニホーム再生、衣服でスマホケースも】は、廃棄物(不要物・不用物)を原材料・エネルギー源として有効活用するリサイクルとは一味違う、廃棄物(不要物・不用物)となったプロダクトを(元のプロダクトの特徴を生かして)再加工し、新たなプロダクトに生まれ変わらせる取り組み=『アップサイクル』に関するリポートです。



 まず、広くモノを大切に長く使おう、廃棄せずに有効活用しようという取り組み=『3R』を整理してみると――

▶『3R』とは

(1)Reduce(リデュース)
   
プロダクトの製造に使う資源量を少なくし、また、製造過程で発生
  する廃棄物を減らす。
  ● 製造工程の見直し
  ● 耐久性の高いプロダクトを設計・製造
  ● プロダクトの寿命を延長させるメンテナンス体制の確立 など

(2)Reuse(リユース)
   使用済みのプロダクト、その部品を繰り返し使う。
  ● リユースの仕組み(ネット、リアルでの中古品買取フリマ
   アプリ
 など)
  ● 修理
  ● リマニュファクチャリング(使用済みのプロダクトを回収⇨分解⇨
   洗浄⇨部品交換⇨新品同様に) など

(3)Recycle(リサイクル)
   廃棄物を原材料・エネルギー源として有効活用する。
  ● リサイクル技術
  ● 使用済製品を回収する仕組み
  ● リサイクルできる、リサイクルしやすいプロダクトの設計 など



 このような『3R』の位置付けの中で、『Upcycle(アップサイクル)』は、廃棄物・不要物・不用物を材料にするという点では『リサイクル』と同じですが、一般的な『リサイクル』が元のプロダクトを原料に解体してしまうのに対して、元のプロダクトの特徴を生かして再加工し、付加価値(デザイン・機能性など)のある新しいプロダクトに生まれ変わらせる点が異なります。

 この『アップサイクル』の最大の特徴、メリットは、経済的に見合わない事も多い一般的なリサイクルのコストよりも低コストで、しかも、付加価値を与えて高く買ってもらえる、という点ではないでしょうか。



 それでは、『アップサイクル』されたプロダクトにどのようなものがあるのか、記事にも様々な事例が挙げられていますが、あれこれ思い巡らしていて気付いたのは、意外にも、ずっと昔から存在していた身近なモノ――『リメイクジーンズ』です――

 穴が開いてしまったカ所にワッペンを貼ったり、擦り切れた所をわざと強調したり、昔のハイライズな仕立てをローライズにしたり……と、古着をそのままリユースするのではなく、一手間かけるだけで、プレミアムな一点物が出来上がる。中には驚く程高価なものもある……。あるいは、味のある古いジーンズでバッグを作る……。

 こうしてみると、『アップサイクル』の本質の一つは、古いものの味を引き出す作業、ビンテージ化のプロセスだとも考えられ、そのポテンシャルにはとても大きなものがありそうです。サスティナブルな社会の実現へ向けて、『3R』に『Upcycle(アップサイクル)』を加えた『3R+U』の時代が来ているのかも知れません。



#COMEMO #NIKKEI

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