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『ブレイブマーケティング』~UXの選択肢を広げるマーケティング~

 日経電子版の記事【生理用品なぜ隠す?批判恐れぬ勇敢マーケ(日経MJ)】は、生理用品の販売現場で、隠すように透けない袋に入れる事への違和感を表明する「#NoBagForMe」プロジェクトに関するリポートです。



 最初この記事を一読した時は、文字通り相当に勇気のある『ブレイブマーケティング』だと驚いたのですが、よくよく読み返してみると、このプロジェクトは、決して「袋に入れない(隠さない)」ことを強制するものではなく、あくまで、「NoBag」を選択肢の一つとして選び易くするために、パッケージデザインなどを検討する施策だと分かりました。

 もともと幅の広いUX(ユーザーエクスペリエンス)の中でも、ある意味最も肝心な「買う」という体験において、袋に入れたいと思うユーザーと、隠す必要はないと思うユーザーの両方に寄り添い、選択肢を拡大する試み、UXの選択肢を広げるマーケティングは、様々な考えや思いを持つユーザーに細分化されていくコト消費の時代、スモールマス化する市場に対応する極めて有効な手段ではないでしょうか

 ある商品のもたらすUXの選択肢が広がれば、場合によっては、新商品が登場したのと同等以上のインパクトがあり、幅広いユーザーを獲得することに繋がります

 その意味で、『ブレイブマーケティング』は、「勇気がある」と言うよりは、「勇気をもって積極的に取り組まねばならない」コト消費の時代のマーケティングである、と言えそうです。



 その際最大限の注意を払わなくてはならないのは、そのマーケティングが、新たなユーザーを獲得する、あるいは、今まで不満に思っていたユーザーの課題を解決する『尖ったマーケティング』ではあっても、決して、一部のユーザーを切り捨て、特定のユーザーだけに応えるような『分断のマーケティング』に陥ってはならない、という事ではないでしょうか。

 全く違う事例ですが、混迷するイギリスのブレグジットの問題などを見ていると、意見を一つに絞ろうとして誤った手段を用いると、そこには『分断』が起きて収拾がつかなくなることが分かります。

 『ブレイブマーケティング』=『尖ったマーケティング』をしようとする時、その主張が決して『分断』を招いて多くのユーザーを失ってしまうようなものではなく、選択の自由が残されている事、『UXの選択肢を広げるマーケティング』であることが求められているのだと思います。



#COMEMO #NIKKEI

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