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『忖度』の使い分け

 日経電子版の記事【大人気「かめおか子ども新聞」 忖度なし 本質ズバっと とことん調査隊】は、メンバーは編集長一人を除いて全員子供というユニークな子供新聞に関するリポートです。



 そもそも、子供と大人を分けるものは何か、様々な見方があると思われますが、その一つに、『他人の心情への想像力』という事があるのではないでしょうか?……もちろん、子供には鋭い直感力があるので、この場合の想像力というのは、想像力があるとかないとかの問題ではなく『他人の心情への想像力』を常に敏感に働かせているか、そのような想像力の感度を磨いているか、という点です。――子供の『他人の心情への想像力』は、きままで、他人の心情を推察し配慮しない事がままある、というのが実態だと思います。

 ここで、『他人の心情を推察し配慮する』というのは、まさに『忖度』です。『忖度』という言葉は、ここ最近すっかり悪者にされてしまった感がありますが、『他人の心情を推察し配慮する』ことそのものは無色であり、良いも悪いもありません。『忖度』にまつわる善悪は、そう単純ではないにしても、『忖度』する人の目的によって大きく左右される、と言えそうです。

 そして、忘れてならないのは、『忖度しない』という選択が、場合によっては、人を傷付けることに繋がるということで、そこには、人間としての基本的な優しさ、思いやりが関わってきます。



 こうしてみると、新聞記事などに限らず、情報収集・伝達において、どのような配慮をするかという課題、『忖度』の使い分けという問題は、私達に様々な問いを投げかけてきているようです――

▶『忖度』の使い分け

(1)敢えて『忖度』を廃した質問が、思いもかけないニュースを引き
  出す


(2)どんな場合にも、『忖度』の装置が存在して、不適切な情報発信を
  チェックする必要
がある。

(3)真実を知りたいという好奇心が話術を磨き、『忖度』を使い分ける
  スキルを磨く。

(4)相談という場面では、『忖度』のない率直な見解が根本問題の指摘に
  繋がる
場合もあり得る。

(5)本質に踏み込むには、『忖度』のない一刀両断が必要な場合もある。

(6)『忖度』のフィルターを緩めることで、笑いの生まれる場合もある。



 編集長一人を除いて全員子供という子供新聞は、それ自体ユニークで面白い施策ですが、大人の世界にも多くのヒントを与えてくれることは間違いなさそうです。



#COMEMO #NIKKEI

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