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商品が売れるテレビCMとは?

 日経電子版の記事【スマートニュース ライバルを逆転したCMデータ術】は、本当に商品が売れるテレビCM、アプリの場合はダウンロードされるテレビCMはどのように作られているのか、とても参考になるリポートです。ばらまき施策の大量出稿ではない、ピンポイントな広告とはどのようなものなのでしょうか?


(1)面白くて話題になるだけではダメ

 記事では、何よりもまず、面白くて話題になっても、商品の購入(アプリのダウンロード)に繋がらないCMはダメ、と指摘されます。

 言われてみれば当然の事で、CMから、その商品(モノ・サービス)によってもたらされる体験(UX)を直感的に知ることが出来て、しかも、その体験がユーザーにとってのベネフィット(商品によってもたらされる本質的な利益)でなければ購入に繋がるはずはない訳です。


(2)ユーザーにとって重要性があり、独自性もある
  メリットを探る

 このような、ユーザーに商品を使った場合のベネフィットを感じさせることの出来るテレビCMを作るには、まず、ユーザーにどのようなニーズがあって、そのニーズに商品のメリットがマッチングしていることを確認する必要があります。

 記事の事例からは、ユーザーを5つのカテゴリーに分け、その内の既に商品(モノ・サービス)を使っている『ロイヤル顧客』と『一般顧客』に直接インタビューして、①認知経路、②利用契機、③継続理由のポイントなどを徹底的にリサーチすることで、ニーズを把握する、という手法がうかがえます。

 そうやって、ユーザーにとって重要で、しかも、自社商品の独自性を訴求できるニーズと商品のメリットが発見できるのです。重要なのは、そのメリットに独自性があって、他社商品と差別化できる優位性がある事です。記事では、一見ニッチなニーズに思えるものにも、大きなチャンスがあるかも知れないので、そのコンセプトの重要度を調査する必要性が指摘されています。

▶ユーザーの5分類

①「ロイヤル顧客」・・・利用頻度が高い

②「一般顧客」・・・利用頻度が平均的

③「離反顧客」・・・過去に使っていたものの今は利用していない

④「見込み客」・・・サービスを認知しているが利用していない

⑤「未認知客」・・・サービスを認知していない


(3)クリエーティブテスト

 ユーザーのニーズと、そのニーズにマッチングする商品のメリットが把握出来たら、①ユーザーがそのベネフィットを直感できるCMを作り、②効果的に放送していく事が求められます――

▶CMの効果を最大化(商品がアプリの場合の例)

① まず、クリエイティブを何本か制作する。

② そして、比較的広告費の安価な地方局の同じ番組で流してみて、
 クリエーティブテストを実施する。

③ 放送後、(Google トレンドで)サービス名を検索して上昇率を
 確認し、翌日、ダウンロード数と突き合わせ検証。
 ⇨ 放送後に検索数が伸長すれば購入に繋がる可能性が高い。
 (単に面白いだけの広告だと、視聴者は商品名の検索をしない。)

④ さらに、出稿番組・内容・局などの組み合わせを変えて効果測定し、
 最も効果の高い「勝ちパターン」を導出
する。
 ⇨ 視聴率が高い真剣に見るような番組より、スマホ片手に見るような
  番組の方が、検索⇨購入に繋がったりするので注意がいる。


 若年層を中心にテレビ離れが言われながら、今でも広告費に対するリーチ効率が抜群のテレビCMを、その高い経費に見合う、商品の購入に繋がるものとするには、ユーザーのニーズ、商品のメリット、ベネフィットの把握、そして、ベネフィットに刺さるCM、勝ちパターンでのCM放送と、検証を繰り返しながらの一貫した施策が必要な事が浮かび上がってきました。

 

 


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