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顧客の不満と満足を把握する~PDCAサイクルの燃料となるデータを求めて~

 日経電子版の記事【消費者の心理と行動(3) 不満が表面化した時にとる行動】は、増税時の価格設定が消費者の行動に与える影響を分析したものですが、記事で紹介されているウィルキーの『不満反応5段階説』というのが面白いです。



 まず、記事から『不満反応5段階』を整理してみると――

▶『不満反応5段階』

(レベル1)我慢

(レベル2)不買(店舗遷移・ブランド遷移など)

(レベル3)悪い口コミ

(レベル4)クレーム(販売店・メーカーへ)

(レベル5)外部機関への告知(行政・マスコミなどへ)

 


 『不満反応5段階』というのは、シンプルでとても分かり易い分類だと思います。不満の募っていくステージは、自分自身の経験に照らしても十分に納得のいくものです。

 ……と、この分類を眺めていて、ふと、真逆の『満足』のケースでは、消費者の心理行動はどのようなステージを辿るのか、『満足反応5段階』というのを想像してみました――

▶『満足反応5段階』

(レベル1)許容

(レベル2)リピーター

(レベル3)良い口コミ

(レベル4)お褒めの言葉

(レベル5)外部機関への告知



 『満足』と言っても、まずは、予想通りの『許容』範囲から始まって、購入したプロダクト(モノ・サービス)がどれだけ期待を超えていたか、予想を超えていたか、理想の域に達していたかで、どんどん顧客満足の程度が高まり、それに合わせて行動のレベルも『リピーター』⇨『良い口コミ』⇨『お褒めの言葉』⇨『外部機関への告知』へとグレードアップしていくと考えられます

 このような顧客の『不満反応5段階』と『満足反応5段階』は、メーカー・小売にとって、プロダクトをブラッシュアップしてPDCAサイクルを回していくのに欠かせない貴重なフィードバックのデータとなるはずです――

▶フィードバック・データとしての『不満反応5段階』
 と『満足反応5段階』の課題

(1)『(レベル4)クレーム』と『(レベル4)お褒めの言葉』は、直接
  メーカー・小売に届くので、収集しやすいデータだが、それが、本当に
  PDCAサイクルに乗って共有され活用されているか

(2)『(レベル1)我慢』と『(レベル1)許容』は(我慢して買って
  いるのか、許容して買っているのかは)、従来のやり方では最も収集の
  難しいデータだと考えられ、店舗の『レジ無し』化に伴うカメラでの
  情報収集、顔認証技術や視線分析技術によって、AIに判定できるか

  微妙なところではないか?(個人情報・プライバシー保護が前提)

(3)『(レベル2)不買』と『(レベル2)リピーター』は、ID-POS
  データなどのビックデータの詳細な時系列での解析によって分析可能

  であり、キャッシュレス化の推進などによる顧客情報と紐付けられた
  POSデータの収集が急務ではないか?

(4)『(レベル3)悪い口コミ』と『(レベル3)良い口コミ』は、
  自社サイト以外への書き込みなども、オルタナティブデータとして
  積極的に収集すべき
ではないか?

(5)『(レベル5)外部機関への告知』については、積極的に関与するの
  ではなく、外部機関からの通知を待って謙虚に対応すべきではないか?

 


 今回、記事によって『不満反応5段階説』なるものを知って、それを『満足反応5段階』に拡大して考察を進めることによって、改めて、顧客の心理と行動を知ることの重要性が確認できたように思います。昨今のイノベーションによって、顧客行動に関する情報収集の可能性は著しく高まっているのではないでしょうか。


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