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TVをAIスピーカーにしてしまうという発想~AIスピーカー、どうやって普及させる?~

 音声入力がUI(ユーザーインターフェース)の大きな流れとなり、様々な生活データを収集するようになる第4次産業革命の時代に、AIスピーカーの普及は、日本の産業界の発展を占う一つの試金石、と言っても過言ではないと思います。

 その理由の第一は、AIスピーカーをはじめとしたAI家電という分野は、私達の日常生活というフィールドでのAIとデータの活用が試される最前線だからです。(この点に関しては、下記の拙稿で考察しています。)

 そして、理由の第二は、乱立する様々なAIアシスタントが統合され、パーソナライズされたアシスタントとなった時、当然のことながら、統合されたAIのプラットフォーマーは、膨大なデータとユーザーを囲い込んで、産業界のエコシステムで大きな影響力を持つことになる、と考えられるからに他なりません。(この点に関しては、下記の拙稿で考察しています。)


 日本の産業界がデジタル植民地化しない為には、企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など様々な事が指摘されていますが、AIスピーカーをどうやって普及させるか、という課題についても、真剣な取り組みが必要だと思われます。その意味で、日経電子版の記事【LINE、画面付きAIスピーカーを19日発売】は、とてもさりげない記事ですが、大きなヒントが隠されているかも知れません。


(1)AIスピーカーを普及させるヒント その1
   ~スマートディスプレー化する~

 AIスピーカーを普及させるヒントの最初のものは、AIスピーカーの物足りなさ、本当に必要かというイメージ、さらには、利便性に欠ける部分を補い、ユーザビリティを高めるために、ディスプレーを搭載するというものです。そのメリットは――

▶ディスプレー搭載のメリット

① 質問内容を画面でも確認できる。
 (プリンターと連動すれば、さらにUXが向上するかも)

② 対話アプリとの連携でビデオ通話などのサービスを充実できる。

③ インターネットTVの視聴も可能に。

④ タッチパネルの機能もあり。

⑤ 音声でうまく起動などができない時には、画面で操作できる。

⑥ 対話アプリを、音声入力‐文字受信などで使える。

 AIスピーカーという殻を破って、スマートディスプレーとしてしまう事で、UX(ユーザーエクスペリエンス)を向上させ、普及に弾みを付けようという考え方です。


(2)AIスピーカーを普及させるヒント その2
   ~キラーコンテンツの開発~

 AIスピーカーにディスプレーを搭載すれば、提供できるサービスの幅が映像分野へと大きく広がりますスマートディスプレーならではの使い方、UXを見極めたキラーコンテンツの登場に期待がかかります。ディスプレー付きAIスピーカーで提供できるコンテンツの質と量が増大し、そこにキラーコンテンツが登場することで、普及に拍車がかかると考えられます。


(3)AIスピーカーを普及させるヒント その3
   ~組み込み・後付け~

 実は、上記の記事を読んで最初に思い付いたのは、家庭にある普通のTVをAIスピーカーにしてしまえばいい、というものでした。つまり、TVやインターホン、マンションシステムといった親和性のある既存のデバイスにAIスピーカーを組み込むか、後付けするかすることで、AIスピーカー導入のハードルを下げ、普及を図るのです。


(4)AIスピーカーを普及させるヒント その4
   ~エッジコンピューティングと
    プライバシーポリシー~

 AIスピーカー導入のハードルという事では、個人情報の保護、個人情報の取り扱いに関する本人の意思の尊重が重要なポイントとなってくるはずです。不必要にクラウドへとデータを送らないエッジコンピューティングも活用し、また、明瞭なプライバシーポリシーを確立することが不可欠となってくると考えられます。


 AIスピーカーの普及を図るには、その導入のハードルを下げ、利便性を追求して、ユーザビリティーを向上させる必要があります。今回の記事は、AIスピーカーを家庭になくてはならない必須アイテムに進化させるにはどうしたらよいか、そのヒントをくれたように思います。



 

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