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インターネットの紡ぐ文化~魅力の再発見と多様性~

 日経電子版の記事【「観る将」増やした将棋中継 携帯配信で伝える迫力】は、昨今の将棋ブーム、「観る将」に果たしたインターネットの力を物語るリポートです。 



 このところ、SNSをはじめとしたインターネットの負の部分――ディープフェイク・フェイクニュース・ヘイトスピーチ・ステルスマーケティング・フィルターバブル、等々――がクローズアップされがちですが、本来、誰もが比較的容易に情報発信できるネットの世界、①低コストと②双方向性、そして③モバイルでの利用を顕著な特徴とするデジタルメディアは、マスメディアと違って、個人の関心の及ぶあらゆる文化領域にスポットライトを当て、その魅力を物語り、拡散することが出来ます

 ネットは、一部の人にしか知られていなかった文化領域の持つ魅力を、多くの人が再発見する機会をもたらし、文化の多様性を醸成するかけがえのない装置なのです。



 「観る将」のケースは、ネットがその功罪、明暗の『明』の側面をいかんなく発揮し、『文化多様性醸成装置』としての役割を見事に果たしつつあるものと言えそうです。「驚きの一手」と遭遇し、「負けたら引退」など棋士の人間ドラマをも垣間見ることが出来る「観る将」、そして、「継ぎ盤」などの双方向性機能で堪能できる「観る将」は、デジタルメディアの持つ特徴、ポテンシャルを最大限有効活用しています。

 このように、インターネットがスモールマスな文化の魅力を再発見して文化の多様性を紡ぎ出す、第4次産業革命の時代に特有の現象は、見方を変えれば、プロダクト(モノ・サービス)を作る側も、そのスモールマスに焦点を当てたマーケティングを行わなくてはならない事を示唆している、と言えそうです。



(追記:『スモールマス』の重要性については、下記の拙稿でも考察しています。)



#COMEMO #NIKKEI

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