見出し画像

『人間らしさ』に寄り添うAI~『人間らしさ』ドリブンなUXデザインとは~

 『人間』に寄り添う人工知能AIのサービスには、一つの特技が要求されると思います。

 『人間らしさ』を理解して反応することです。


 人間はロボットではないので、『心配したり』、『遠慮したり』、『戸惑ったり』します。そのような『人間らしさ』への対応が出来ないと、真にユーザーに寄り添ったサービスとは言えません。

 もちろん、何が『人間らしさ』であるか、サービスをデザインする人間が判断する場合もありますが、最近では、人間の行為の中から『人間らしさ』の部分を抽出できるAIも出てきている事が、日経電子版の記事から知ることができます――



(1)人間が『人間らしさ』に配慮したサービスを
  デザインした事例 その1

 この記事【丸井、AIでレストランの空席状況お知らせ】では、レストランに行く時の最大の『心配事』の一つ、混んでないだろうか、空席はあるかな、という『人間らしさ』に対応するAIのサービスが紹介されています。

 AIが、レストランの天井の小型カメラで店内・待ち列を撮影⇨待ち時間などを推定⇨スマホや館内のデジタルサイネージに情報表示、というシステムです。

 このようなシステムのポイントは、ユーザーの利便性が向上(=心配事の解決)するだけでなく、レストランの混雑が緩和される点にあると思われます。


(2)人間が『人間らしさ』に配慮したサービスを
  デザインした事例 その2

 この記事【アパレル店舗、AIが商品提案 NTTデータが実証実験】では、接客を好まない、接客は『遠慮したい』な、という『人間らしさ』に対応するAIのサービスが紹介されています。

 AIが、デジタルサイネージ前に設置したカメラ画像をもとに、来店者の性別・年齢層を推定⇨属性に応じた商品をサイネージで提案⇨ECサイトに誘導、というシステムです。

 このようなシステムのポイントは、ユーザーの買物体験が向上する(=接客は遠慮する)だけでなく、店舗を省人化できる点にあると思われます。


(3)AIが『人間らしさ』を認識(抽出)する
  サービスの事例

 この記事【東芝の音声認識AI、言いよどみ瞬時に検出 会議の字幕に】では、会議や講演での発言にどうしても「あ~」とか「え~」などの『言いよどみ』が入ってくる、人間特有の『惑い』という『人間らしさ』に対応するAIのサービスが紹介されています。

 AIが、周波数等から人間が言いよどむ時に特有の音声の特徴を学習⇨言いよどみを瞬時に検出⇨言いよどみは字幕上で薄い色で表示⇨音声を書き起こしたテキストを提供、というシステムです。

 このようなシステムのポイントは、ユーザーが字幕を見た時の分かり易さを向上(惑いの抽出)するだけでなく、文字起こしの作業量の軽減ができる点にあると思われます。



 このように見てくると、『人間に寄り添う』AIのサービスは、空席があるか心配、接客は好まない、言いよどみなどの『人間らしさに寄り添った』UXを実現することで、混雑緩和・省人化・作業量軽減など、作業効率の向上を達成している事が分かります。

 つまり、『人間らしさ』ドリブンなUXデザインであるからこそ、UXの最大化が達成され、結果として作業効率などが向上した訳です。このような最適化は、『効率』ドリブンな、効率至上主義のデザイン思想では、決して達成できなかったと考えられます。効率ばかりを追求することは、近道のようで、実は迷路のようなものかも知れません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?